最終楽章 (コーダ)

レッド・ツェッペリン『最終楽章 (コーダ)』

『最終楽章 (コーダ)』は、イギリスの伝説的ロックバンド、レッド・ツェッペリンが1982年11月19日に発表した9枚目のスタジオ・アルバムです。プロデューサーは、バンドのギタリストであるジミー・ペイジが務めました。

アルバムタイトルである「コーダ (Coda)」は、音楽用語で「終結部」を意味します。邦題は「最終楽章」とされていますが、これは厳密には誤訳です。しかし、バンドの活動を締めくくるアルバムという意味合いが込められていると考えられています。

制作の背景

1980年9月25日、ドラマーのジョン・ボーナムが急逝。これにより、バンドは同年12月4日に解散声明を発表しました。当時、スワンソング・レコードはアトランティック・レコードとの間で、「レッド・ツェッペリンのアルバムを5枚リリースする」という契約を結んでいました。その契約を完了させる必要があったため、ペイジはレッド・ツェッペリンの12年間における様々なセッションからの未発表音源を集め、アルバムとしてリリースすることにしました。

ペイジは1981年の夏から編集作業を開始し、ロバート・プラントとジョン・ポール・ジョーンズの協力を得て、1982年初頭にトラックを完成させました。

当初ペイジは、バンドのライブ・パフォーマンスを年代順にまとめたライブ・アルバムとして発表することを計画していました。具体的には、1970年のロイヤル・アルバート・ホール公演からの音源を考えていましたが、プラントの反対により、本作のような形になったと言われています。なお、このライブ音源および映像が公式に発表されたのは、2003年発表の『レッド・ツェッペリン DVD』でした。ただし、そのうちの1曲「君から離れられない」のみが、リハーサル音源と偽って本作に収録されています。

アートワーク

ジャケット・デザインは、前作『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』に引き続き、ヒプノシスが担当しました。前作とは異なり、本作は凝ったギミックや謎めいたメッセージは一切なく、淡い灰緑色を基調としたシンプルなデザインとなっています。表面には、一筆書きのような書体でバンド名とアルバムタイトルが大きく印刷されています。裏面には、雲面に浮かぶ10枚の円盤の写真が配置されており、ファンの間で様々な憶測を呼びました。一般的には、ツェッペリンが発表したアルバムの総数（ライブ盤である『永遠の詩（狂熱のライヴ）』を含む）を指していると言われています。インナー・ジャケットには、レッド・ツェッペリンの全活動期間に撮影された様々な写真がコラージュされています。

チャート・アクション

『最終楽章 (コーダ)』は当初1982年前半にリリースされる予定でしたが、プラントのソロ・デビュー作『11時の肖像』との競合を避けるため、発売が延期されました。最終的に11月19日にアメリカで発売され、ビルボードのアルバム・チャートで6位を記録。イギリスでは11月21日に発売され、アルバム・チャート4位を記録しています。2015年にリリースされた最新リマスター版は、ビルボード・チャートで12位、全英では9位を記録しました。

リイシュー

1987年に初CD化され、1993年の『コンプリート・スタジオ・レコーディングス』で全曲がリマスター化されました。1994年には単独でリリースされています。2015年には、最新リマスター版が『プレゼンス』、『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』と同時にリリースされました。本作のデラックス・エディションおよびスーパー・デラックス・エディション付属のコンパニオンディスクは2枚組で、『イン・スルー…』以前の時代からの未発表音源など、全15曲が収録されています。収録曲のうち、「ヘイ・ヘイ・ホワット・キャン・アイ・ドゥ」、「ベイビー・カム・オン・ホーム」、「トラベリング・リバーサイド・ブルース」は既出曲です。

収録曲について

アルバムには、「ウィアー・ゴナ・グルーヴ」「プア・トム」「君から離れられない」など、様々な時代の未発表音源が収録されています。特に、「モントルーのボンゾ」は、ジョン・ボーナムが録音したパーカッション・インストゥルメンタルにジミー・ペイジが電気的処理を施したもので、彼の才能を偲ぶことができる楽曲です。

『最終楽章 (コーダ)』は、レッド・ツェッペリンの歴史を締めくくる作品として、ファンにとって特別な意味を持つアルバムと言えるでしょう。

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