月はどっちに出ている

『月はどっちに出ている』

『月はどっちに出ている』は、1993年に制作されたテレビ映画であり、同年に公開された日本映画です。この作品は、梁石日が書いた自伝的小説『タクシー狂躁曲』を原作としており、脚色は崔洋一と鄭義信が手がけました。監督を務めるのは崔洋一で、ドラマ版では石橋凌、映画版では岸谷五朗が主人公を演じ、ルビー・モレノも重要な役割を担っています。

概要

物語は、在日コリアンのタクシー運転手と日本で生きるフィリピン女性との恋愛を中心に展開されます。彼らの出会いや成長を通じて、在日外国人の多様な人生が描かれ、さらにはヤクザなどの他のキャラクターとの絡みも描かれます。タイトルの「月はどっちに出ている」という言葉は、方向音痴の同僚が迷った時に主人公に電話する際の最初の質問となっています。

本作は、これまで主に弱者として扱われてきた在日コリアンを、自由に自らの生を選択する人物として描き出したことで高く評価されました。また、過激な性描写が含まれる点も特徴です。この映画は後の2000年代以降に制作された、同様のテーマを扱った作品群（『GO』や『パッチギ!』など）への布石ともなりました。

テレビドラマ版

1993年にWOWOWのスペシャルドラマ「J・MOVIE・WARS」の一部として放映され、34分間の内容です。16ミリフィルムで撮影され、同年の10月30日に他の4作品と共に劇場でも公開されました。ドラマ版においては、主に韓国人と日本人の交差する複雑な関係が描かれています。

映画版

映画版も1993年に公開され、シネカノンによって製作されました。ルビー・モレノと絵沢萌子がドラマ版と同じ役を演じています。映画は1994年にベルリン国際映画祭のフォーラム部門で上映されるなど、国際的な評価も受けました。

キャスト

映画版のキャストには、以下の人物が含まれています：

- 姜忠男（神田忠男） - 岸谷五朗
- コニー - ルビー・モレノ
- 池英順（忠男の母） - 絵沢萌子

その他にも多くのキャストが参加しており、それぞれのキャラクターが物語を彩っています。

受賞歴

本作は多くの映画賞を受賞しており、特に日本映画プロフェッショナル大賞では最優秀作品賞や最優秀主演男優賞を受賞しました。さらに、キネマ旬報やブルーリボン賞、毎日映画コンクールでも高い評価を得るなど、その影響力と重要性は多大です。

映像ソフト

『月はどっちに出ている』は、VHSやLD、DVDなどの形で映像ソフトがリリースされています。1994年から始まり、2013年に至るまで様々なフォーマットでの流通が行われています。これにより、多くのファンがこの作品をいつでも楽しむことができるようになっています。

まとめ

『月はどっちに出ている』は、在日コリアンと日本人、異文化の出会いを通じて生まれるドラマを描いた作品であり、その後の日本映画に大きな影響を与えました。在日外国人の視点から見た日本社会の一面を見つめ、調和と摩擦を描いた内容は、今なお多くの観客の心に残ることでしょう。

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