月は闇夜に隠るが如く

月は闇夜に隠るが如く

中村春菊による漫画作品。
GUST（桜桃書房）にて連載。

概要

1999年にGUSTコミックス（桜桃書房）から出版。2005年には中村春菊フェアで読み切り“阿蘭陀カステラジャパネスカ”や描き下ろしを収録したASUKAコミックス（角川書店）から新装版が出版されました。

物語は、白髪の剣客・片桐信乃と、復讐を胸に彼に弟子入りを志願する少年・テツ、そして信乃の理解者である藩士・服部半十郎を中心に展開されます。舞台は主に海津藩。時代劇ならではの人間模様が魅力です。マリン・エンタテインメントよりドラマCDも発売されています。

登場人物

※声の記述はドラマCDによるもの

片桐信乃（かたぎり しの）

声 - 神谷浩史 / 若年期：中原麻衣

「白髪の人喰い鬼」と恐れられる謎多き剣士。普段は染井化物屋敷にひっそりと暮らし、半十郎からの依頼で夜な夜な剣を振るっています。過去に一族を皆殺しにされた経験から、黒髪が真っ白になったとされています。人との接触を避ける一方、半十郎には心を開き、彼の着物を大切にしているなど、無自覚な想いを抱いています。テツに仕事現場を目撃され、強引に弟子入りを志願された当初は迷惑がっていましたが、現在は屋敷に住むことを許しています。幼少期は病弱で、15歳まで女装をさせられていたという過去も持ちます。

テツ

声 - 宮田幸季

信乃の仕事現場を目撃し、強引に弟子入りを志願して屋敷に押しかけてきた少年。博打で借金を作り蒸発、挙句の果てに自身を陰間茶屋に売り飛ばした父親への復讐のため、信乃に剣を教わろうとしています。その後、陰間茶屋から信乃に身請けされ、屋敷の家事全般を担当。亡き母が作ってくれたあんころもちが好物です。

服部半十郎（はっとり はんじゅうろう）

声 - 森川智之

信乃の幼馴染で、海津藩士。父親は家老職の服部半蔵。飄々とした掴みどころのない性格ですが、信乃を大切に想い、彼の数少ない理解者です。家伝製法による薬作りが得意ですが、味と見た目は独特。時にテツに嫉妬することも。

阿蘭陀カステラジャパネスカ

概要

2001年にb-boy ZipsVol.29に掲載された読み切り作品で、新装版の「月は闇夜に隠るが如く」に再録されています。

開国時代の肥前を舞台に、佐賀鍋島藩主の15男・環と、オランダ商船の通詞シンジュの恋物語が描かれます。

登場人物

鍋島環（なべしま たまき）

佐賀鍋島藩主の15男。家からはぞんざいに扱われ、自由のない生活を送っています。異人の存在に興味を持ち、出島を監督する兄に頼んで、阿蘭陀船からやって来たシンジュと会わせてもらいますが、それが変化の始まりとなります。かすていらが大好きです。

シンジュ・ファン・メーデルフォールト

オランダ商船の通詞で、1613年に伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節の一員だった日本人の末裔。日本人、イタリア人、イギリス人、バタビア人、ポルトガル人などの混血で、国籍はオランダ。東洋人の血が入っていることからオランダ本国ではいじめられていましたが、逆境に強く、「自分を見下した相手を名実共にねじふせる時の快感がたまらない」という性格。環に一目惚れし、屋敷に居座り、かすていらを餌に環にオランダ語を教え込みます。

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