月刊PCエンジン

月刊PCエンジン：PCエンジン黄金期の思い出を彩るゲーム雑誌

1988年から1994年まで、小学館から発行されていたゲーム雑誌『月刊PCエンジン』（略称：月P）は、NECホームエレクトロニクスの家庭用ゲーム機PCエンジンの魅力を余すことなく伝えた、多くのユーザーにとってかけがえのない存在でした。ハドソンと深い繋がりを持つ『月刊コロコロコミック』の増刊として誕生した「PCエンジンスペシャル」を経て、独立した専門誌として1988年11月29日に創刊されました。

PCエンジンゴリラと魅力的な誌面

雑誌のマスコットキャラクターであるPCエンジンゴリラが表紙を飾り続けた『月刊PCエンジン』。漢字にはルビを振るなど、小中学生にも読みやすい、親しみやすい誌面構成が特徴でした。マニアックな情報を押し出すのではなく、幅広い層の読者に楽しんでもらえるよう配慮された編集姿勢が、雑誌の人気を支えた要因の一つと言えるでしょう。毎号、付録が付いたり、応募者全員サービスを実施するなど、読者へのサービスも充実していました。

新作ソフト紹介から攻略情報まで充実のコンテンツ

『月刊PCエンジン』には、様々なコーナーがありました。「NEW GAME SPECIAL」では、その号の目玉となる新作ソフトを、見開き2ページの大々的な特集（Part.1）と、その他のソフトを紹介するページ（Part.2）に分けて掲載。編集者によるクロスレビューやメーカーからのメッセージ「HOT LINE」なども人気を博しました。「PC Engine SOFT TOP10」では、月間人気ランキングや期待度ランキング、移植希望ソフトランキングなどを発表し、読者の関心を集めていました。「攻略園」や「SRT（Special Rescue Team）」では、数々のゲームの攻略情報を掲載。裏技は「激烈技」として紹介されました。年末商戦や年度末には、攻略情報などを特集した別冊付録がつくこともありました。

読者参加型のコーナーも充実

読者参加型のコーナーも充実しており、「ニンジン倶楽部」では読者からの意見や感想を紹介。「遊楽画廊」では読者から投稿されたイラストを、カラーページで掲載していました。投稿作品は質・量ともに高く評価されており、当時のゲーム雑誌の中でも屈指のコーナーでした。投稿採用者には「豪華な粗品」が贈られるとアナウンスされていましたが、その詳細は最後まで明かされることはありませんでした。

ゲーム業界のニュースから技術解説まで

「PC-ENGINE PLUS」では、ゲーム業界のニュースやイベントレポートなどを掲載。ハドソンの技術本部長、中本伸一氏による連載「ハイパー電脳コラム」（後に「HYPER BOX」に改題）では、専門用語を分かりやすく解説した、ハード寄りの技術的な話題を取り上げていました。

アイドルがゲームをプレイする人気コーナー

「プリンセスカフェ」は、当時の人気アイドルをゲストに招き、PCエンジンソフトをプレイしてもらうという、他誌にはないユニークな企画でした。小川範子さんが自身の主演ゲーム『No･Ri･Ko』をプレイした回や、コナミの広報担当だった早坂妙子さんが出演した「プリンセスカフェII」は、特に記憶に残るコーナーでした。

廃刊までの経緯

1992年以降、PCエンジン市場はCD-ROM主体へと移行。アニメ絵や有名声優、美少女キャラを前面に出したソフトが増える一方でした。『月刊PCエンジン』のターゲット層である小中学生と、市場のユーザー層との間にズレが生じ始めます。スーパーファミコンの隆盛や、新たなゲーム雑誌の創刊ラッシュ、次世代ゲーム機の発売も重なり、小学館は1993年12月3日、ゲーム総合誌『ゲーム・オン!』を創刊。その結果、『月刊PCエンジン』は1994年3月号をもって廃刊となりました。突然の廃刊に、多くの読者が残念に思ったことでしょう。

PCエンジンCD-ROMカプセル

雑誌にCD-ROMを直接添付することが困難だった当時、『月刊PCエンジン』の増刊扱いのムックとして『PCエンジンCD-ROMカプセル』が刊行されました。発売前のゲームソフトの体験版やデモ、すべてのPCエンジンソフトを検索できる「PCエンジンハイパーカタログ」などを収録したCD-ROMが付属しました。特にVol.4には、『ときめきメモリアル』の予告編が収録されており、現在でも貴重な資料として扱われています。「PCエンジンハイパーカタログ」は、『ウルトラボックス』に収録されていた「PCエンジンソフト図鑑」を改良したものでした。

多くの才能が結集した雑誌

『月刊PCエンジン』には、見田竜介氏、玉井たけし氏、雑君保プ氏、うおりゃー大橋（大橋よしひこ）氏、青木コブ太氏、安部K助氏など、多くの漫画家やイラストレーターが関わっていました。彼らの才能によって、雑誌はより魅力的なものとなっていました。

『月刊PCエンジン』は、多くの読者にとって、PCエンジンの思い出と深く結びついた雑誌でした。その存在は、PCエンジン黄金期の輝きを今に伝えています。

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