月極域探査ミッション

月極域探査ミッション（LUPEX）

月極域探査ミッション（LUPEX）は、インド宇宙機関（ISRO）と宇宙航空研究開発機構（JAXA）が共同で開発する月探査機です。このプロジェクトは、月の南極地域に着陸し、水の存在を確かめるための探査を行います。2023年現在、2026年の打ち上げを予定しています。

背景と目的

近年の探査機による観測結果から、月の極地周辺に水の存在が示唆されています。ただし、これまでのデータはすべてリモートセンシングによるもので、月面で直接水を確認した事例はありません。そのため、水がどの程度存在するのか、実際に利用可能な形で存在するのかも不明な状態です。もし月に水が見つかれば、宇宙船の燃料や将来の有人月面基地の資源として利用できる可能性が高く、LUPEXはその一歩を踏み出すことを目指しています。

LUPEXでは、月面での水の観測に加えて、月表層大気の揮発性成分や着陸地点の元素濃度・分布も観測する予定です。このミッションにおいて、JAXAはロケットによる打ち上げとローバを担当し、ISROは着陸機の開発を行います。

開発の経緯

2016年、JAXAとISROは宇宙分野での協力を目的とした了解覚書を交わしました。この合意のもと、日印共同の月探査機の開発が検討され、2017年11月に開催されたアジア太平洋地域宇宙機関会議で初めてLUPEXが公式に発表されました。その後、2018年12月には共同ミッション定義審査（JMDR）が実施されました。

LUPEXは、以前「チャンドラヤーン3号」として知られていましたが、これは2019年にチャンドラヤーン2号の着陸失敗に関連しています。

探査機の構成

LUPEX着陸機

LUPEXの着陸機はISROが開発を担当し、2023年に打ち上げられた「チャンドラヤーン3号」を基に進められます。この着陸機は、月の極域における日照条件を考慮した太陽電池タワーを装備しています。太陽電池とバッテリーには、日本が提供する機器も含まれています。加えて、JAXAの小型月着陸実証機（SLIM）で実証されたピンポイント着陸技術も活用され、着陸機の誘導とナビゲーションについても日本が関与します。

現在、着陸機に搭載が確定した科学機器はありませんが、インド物理学研究所（PRL）は、月微小隕石や月静電ダストの実験機器を提案しています。

LUPEXローバ

LUPEXローバはJAXAが担当し、月面に着陸後、10km以上の移動を行い、土壌に水が含まれているかどうかを探査します。4脚のクローラを搭載し、傾斜のある地形でも走行可能です。さらに、深さ1.5mまで掘削できるドリルも備えています。

結論

LUPEXは、月の南極地域における水の存在確認とその探査を通じて、将来の宇宙探査における重要な資源獲得の可能性を探ります。このミッションにより、新たな宇宙のフロンティアを切り開くことが期待されています。

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