月面座標

月面座標

月面座標（げつめんざひょう）は、月面の特定の位置を表すための重要な座標系です。この座標系は、地球の緯度と経度に類似した2つの値を使って、月面上の任意の点を一意に指定することができます。月面は、緯度と経度を用いて位置を示すため、研究や探査において不可欠な要素となっています。

月面緯度と経度

月面上での位置を特定するためには、まず月面経度と月面緯度を理解する必要があります。月面経度は、地球から見た月の表面を横切る中心子午線からの東または西の位置を示します。一方、月面緯度は月の赤道からの北または南への位置を示しており、どちらの値も度（°）で表現されます。
月面の基準となる位置として、小さなボウル状のクレーター「メスティングA」が選ばれており、このクレーターの座標は以下のように定義されています。

• - 緯度: 南緯3°12′43.2″
• - 経度: 西経5°12′39.6″

この座標系は、月レーザー測距実験によって非常に高精度になりました。経度が90°を超えると、その部分は月の裏側にあたるため、地球から直接見ることはできません。

月面余経度

月面余経度（selenographic colongitude）は、月の明暗境界線の経度を計測するための指標であり、太陽が昇る地点を基準にしています。この明暗境界線は、月面で半円を形成し、西向きに計測されます。月面余経度の値は0°から359°まで続き、上弦の月が現れる時には余経度0°が定義されます。
満月の際は、余経度は90°、下弦の月の際は180°、新月時には270°となります。
日光が少ない角度で月面に当たると、陰影が長くなり、明暗境界線付近は月の表面構造を観察するのに最適な場所となるため、月面の特定の構造を観察する際には余経度の情報が特に重要です。月面余経度に180°を加えることで、夜の明暗境界線の位置を知ることができます。

月面緯度

月面緯度は、地球における緯度の概念と似ており、月の赤道を0°として南北に90°までの範囲で示されます。これにより、月面上の特定の位置が明確になります。

月面経度

月面経度は、地球における経度の概念に相当し、地球から見た月の中央を通る子午線を0°とし、東西で最大180°までの範囲で示します。この経度は、本初子午線からの位置を東西それぞれに測定し、特に東向きが優先される傾向があります。
おおよそ、月の本初子午線は、地球から見える側の中心に位置していますが、月には様々な座標系が存在するため、異なった本初子午線が定義されています。国際天文学連合が推奨している“平均地球/極軸”方式では、本初子午線が月の中心と地球の中心を結ぶ平均的位置となります。

このように、月面座標系は月面の探査や観測において基本的な座標を提供し、科学的な研究において大変重要な役割を果たしています。

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