有りがたうさん

映画『有りがたうさん』解説

『有りがたうさん』は、1936年に公開された清水宏監督による日本の人情映画です。原作は、ノーベル文学賞作家である川端康成の短編小説『有難う』。昭和初期の不況の時代を背景に、伊豆半島の天城街道を舞台とした、心温まる人間ドラマが繰り広げられます。

ストーリー

物語の主人公は、「有りがたうさん」という愛称で親しまれている路線バスの運転手。彼は、天城街道を走るバスの中で、様々な乗客と出会い、交流を深めていきます。貧しいながらも懸命に生きる人々、それぞれの事情を抱えた旅人たち。彼らとの出会いを通して、「有りがたうさん」は、ささやかな幸せや人情の温かさに触れていきます。

映画は、当時の日本の社会情勢や人々の生活ぶりをリアルに描き出しながら、ユーモラスなタッチで人間模様を描いています。美しい自然を背景に、バスの乗客や街道ですれ違う人々との心温まる交流を映し出しています。

キャスト

有りがたうさん（バス運転手）：上原謙
黒襟の女：桑野通子
売られゆく娘：築地まゆみ

その他、個性豊かな俳優たちが多数出演し、物語に深みを与えています。

スタッフ

監督：清水宏
原作：川端康成
脚本：清水宏
撮影：青木勇

撮影について

映画の舞台は天城街道ですが、実際の撮影は一部、天城街道以外の場所でも行われました。当時の風景を再現するため、ロケーション選びにも力が入れられました。

映画が描くもの

『有りがたうさん』は、不況の時代にあっても、人々の心の温かさや助け合いの精神が失われていなかったことを教えてくれます。感謝の気持ちを忘れずに生きることの大切さ、人と人との繋がりがいかに大切であるかを、観る人に静かに語りかけます。公開から80年以上経った今でも、多くの人々に愛され続けている名作です。

外部リンク

allcinema
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