有坂愛彦

有坂愛彦（ありさか よしひこ）は、1905年9月17日に生まれ、1986年10月7日に没した、日本の音楽評論家です。彼は軍人である有坂鉊蔵の四男として生まれ、弟には言語学者の有坂秀世がいます。

1930年に東京帝国大学文学部美学美術史学科を卒業後、音楽評論家としての活動を開始しました。彼の評論は、音楽の本質を深く捉え、多くの読者に音楽の魅力を伝えました。

第二次世界大戦後の混乱期、有坂は日本の音楽文化の復興に尽力しました。1946年1月22日には、日本音楽連盟の結成に参加し、理事長に就任しました。この連盟は、日本の音楽文化を再建し、国際的な音楽交流を促進することを目的としていました。彼は、そのリーダーシップを通じて、日本の音楽界の発展に大きく貢献しました。

有坂は、音楽に関する著書を多数執筆しました。その内容は多岐にわたり、音楽家の伝記から、音楽鑑賞の方法、オーディオ技術に関するものまで、幅広い分野をカバーしています。

主な著書としては、以下のようなものがあります。

『文化を築いた人々 1 ベートーヴェン』（1946年）：ベートーヴェンの生涯と作品を解説した書籍です。
『音楽文化叢書　解説歌劇「カルメン」』（1948年）：ビゼーの歌劇「カルメン」について詳細な解説を行った書籍です。
『音楽鑑賞全集 第3巻 名曲解説　器楽』（1949年）：器楽曲の名曲を解説した書籍です。
『初等音楽講座 第7巻 音楽鑑賞法』（1949年）：音楽鑑賞の方法を分かりやすく解説した書籍です。
『音楽と人 三楽聖の生涯と作品』（1950年）：バッハ、ヘンデル、ベートーヴェンの3人の音楽家の生涯と作品を解説した書籍です。
『文部省撰定鑑賞用音楽レコード解説全書 [第3巻]　中学校編』（1950年）：中学校向けの音楽鑑賞用レコードの解説書です。
『名曲解説全集 第4 管弦楽曲』（1959年）：管弦楽曲の名曲を解説した書籍です。
『耳が驚くオーディオ術』（1979年）：オーディオ技術に関する書籍です。

また、共編著としては、山根銀二との共著『レコード音楽全集 第1巻 音楽の鑑賞』（1938年）や、慶谷壽信との共編『有坂秀世言語学国語学著述拾遺』（1989年）などがあります。

これらの著書を通じて、有坂は音楽をより身近なものとし、多くの人々に音楽の楽しさや奥深さを伝えました。彼は、単なる音楽評論家としてだけでなく、音楽文化の発展に貢献した重要な人物として、その名を歴史に刻んでいます。

有坂愛彦は、その生涯を通じて、音楽への深い愛情と情熱を注ぎました。彼の功績は、日本の音楽文化の発展に大きく貢献し、後世に多大な影響を与え続けています。

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