有明フェリー

有明フェリー

有明フェリーは、有明海自動車航送船組合が運航するフェリーで、熊本県の長洲港と長崎県の多比良港を結び、国道389号の海上区間を担っています。1993年（平成5年）4月以降、この航路は地域住民にとって重要な交通手段となっています。

概要

航路: 熊本県玉名郡長洲町長洲の長洲港 - 長崎県雲仙市国見町土黒甲の多比良港（14km）
便数: 午前6時から午後8時まで、通常期（Aダイヤ）は19便、オフ期（Bダイヤ）は16便が運航しています（2022年3月時点）。
所要時間: 片道約45分
運賃: 大人500円、子供（小学生以下）250円（片道）。
予約センター: 平日9:00～17:30、電話番号 0957-78-2105

利用状況

島原半島は長崎自動車道や九州自動車道から離れているため、このフェリーは福岡や本州方面への重要な足となっています。有明海の穏やかな内海を航行するため、高い就航率を誇ります。

他の交通機関との接続

長洲港側では、最寄りのJR長洲駅まで2.2km以上離れており、自動車やタクシーで約10分かかります。かつては産交バスが接続していましたが、2020年9月末に廃止されました。現在は、地元のタクシー会社が予約制の乗合タクシーを時間帯限定で運行し、長洲駅と港を結んでいます。

一方、多比良港側にはバス停が近くにあり、徒歩約5分で島原鉄道の多比良駅にアクセスできます。

かつて、1968年から1997年まで、長崎 - 熊本間の特急バス「ありあけ号」がこの航路を経由し、バスをフェリーに載せて輸送していました。

その他

冬にはカモメがフェリーに群がり、乗客から餌をもらう光景が見られます。フェリー内の売店ではカモメの餌として「かもめパン」が販売されています。また、運が良ければ船上からスナメリを観察することもできます。

有明海自動車航送船組合

有明海自動車航送船組合は、長崎県と熊本県が共同で設立した一部事務組合です。組合の条例により、地方公営企業法の財務規定が適用されています。組合管理者は、両県の知事が2年ごとに交代で務めていましたが、2008年に規約が改正され、知事以外の人物も管理者になることができるようになりました。

沿革

1956年（昭和31年）: 有明海自動車航送船組合設立。
1958年（昭和33年）: 多比良 - 長洲航路の運航開始。「有明丸」就航（6往復）。
1959年（昭和34年）: 「第二有明丸」就航、2隻体制（10往復）。
1967年（昭和42年）: 「第三有明丸」就航、3隻体制（14往復）。
1968年（昭和43年）: 長崎-熊本を結ぶ特急バス「ありあけ号」運行開始。
1971年（昭和46年）: 「第五有明丸」就航、4隻体制（24往復）。
1977年（昭和52年）: 「第六有明丸」就航。
1980年（昭和55年）: 「第七有明丸」就航。
1985年（昭和60年）: 「第八有明丸」就航。
1988年（昭和63年）: 「第十有明丸」就航。
1994年（平成6年）: 「サンライズ」就航、多比良港に新ターミナルビル完成。
1996年（平成8年）: 長洲港に新ターミナルビル完成。
1997年（平成9年）: 特急バス「ありあけ号」運行休止。
2000年（平成12年）: 長洲港に二層式可動橋完成、3隻体制での運航が可能に。
2001年（平成13年）: 多比良港に二層式可動橋完成。
2012年（平成24年）: 「有明みらい」就航。
2014年（平成26年）: 「有明きぼう」就航。

運航中の船舶

サンライズ
1994年2月竣工、同年4月1日就航。
総トン数: 888トン、全長: 59.3m、幅: 13.4m、出力: 3,600馬力、最大速力: 15.6ノット。
旅客定員: 490名、車両積載数: 85台（乗用車換算）。

有明みらい
2012年4月竣工、同年4月28日就航。
総トン数: 759トン、全長: 57.02m、幅: 12.80m、出力: 1,500馬力×2基、最大速力: 14.0ノット。
旅客定員: 450名、車両積載数: 69台（乗用車換算）。
展望デッキ、バリアフリー対応、車椅子固定スペース、エレベーターを装備。

有明きぼう
2014年2月竣工、同年4月1日就航。
総トン数: 759トン、全長: 57.02m、幅: 12.80m、出力: 1,500馬力×2基、最大速力: 14.0ノット。
旅客定員: 450名、車両積載数: 69台（乗用車換算）。
「有明みらい」と同仕様。船体に熊本県のキャラクター「くまモン」などのゆるキャラがあしらわれ、国道389号線の海上区間を表すマークも表示。

過去に運航していた船舶

有明丸
1958年3月竣工、同年4月就航。
総トン数: 496.86トン、全長: 47.85m、幅: 11m。
旅客定員: 485名、乗用車20台。
1964年東京オリンピックで聖火輸送。

第二有明丸
1959年竣工、就航。
1977年「第六有明丸」就航に伴い引退。

第三有明丸
1967年3月竣工。
総トン数: 530.94トン、全長: 49.75m、幅: 11.50m。
旅客定員: 486名、大型バス6台、乗用車28台または乗用車50台。
1973年二層化改造。

第五有明丸
1971年5月竣工、同年5月1日就航。
総トン数: 530.66トン、全長: 49.75m、幅: 11.50m。
旅客定員: 462名、大型バス6台、乗用車28台または乗用車50台。
後に車両甲板の二層化改造。

第六有明丸
1977年3月竣工、同年4月12日就航。
総トン数: 695.16トン、全長: 54.00m、幅: 12.80m。
旅客定員: 488名、大型バス8台、乗用車30台または乗用車80台。
就航当初より二層の車両甲板を装備。

第七有明丸
1980年2月竣工、同年3月27日就航。
総トン数: 692.70トン、全長: 54.00m、幅: 12.80m。
旅客定員: 488名、大型バス8台、乗用車30台または乗用車80台。
大型トレーラー輸送に対応。

第八有明丸
1985年3月竣工、同年4月1日就航。
総トン数: 694→721トン、全長: 57.32m、幅: 12.80m。
旅客定員: 488名、大型バス10台、乗用車32台または乗用車90台。

第十有明丸
1988年2月竣工、同年4月1日就航。
総トン数: 696トン、全長: 57.02m、幅: 12.80m。
旅客定員: 488名、大型バス10台、乗用車32台または乗用車90台。

脚注

注釈

出典

参考文献

イカロスMOOK 『日本全国たのしい船旅2』 イカロス出版、2006年。

外部リンク

有明フェリー 公式サイト

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