有楽町ビルヂング

有楽町ビルヂング：歴史と変遷

東京都千代田区有楽町に位置する有楽町ビルヂングは、昭和41年（1966年）に竣工した高層ビルです。その歴史は、戦後間もない頃に同地に存在した映画館「スバル座」にまで遡ります。スバル座は火災で焼失後、現在の有楽町ビルヂングとして再建されました。

この土地は、当初毎日新聞社が東京本社拡張用地として取得していましたが、三菱地所が取得、開発に着手しました。建築計画当初は地上9階建てを予定していましたが、道路事情による制約から、最終的には地上11階建てとなりました。名称も当初は「有楽町国際ビル」の仮称でしたが、竣工時には「有楽町ビルヂング」と決定されました。

竣工当時は、前年の証券不況や建築基準法改正による供給過剰の影響で、オフィスフロアの入居率は3割程度と低迷しました。しかし、積極的な営業活動の結果、竣工後1年ほどで7割まで回復しました。

ビルには、オフィスフロアの他に、商業施設や飲食店、医院などがテナントとして入居していました。低層階には映画館「有楽町スバル座」も入居していましたが、2019年に閉館しています。また、屋上ビアガーデンなども設けられ、周辺地域の賑わい創出にも貢献していました。

一方で、ビルには暗い歴史も刻まれています。昭和43年（1968年）、ビル2階にあったサウナ施設で火災が発生し、一酸化炭素中毒による死者が出ています。

有楽町ビルヂングは、長年にわたり有楽町エリアのランドマークとして機能してきましたが、老朽化に伴い、2021年に建て替えが発表されました。三菱地所は、周辺エリアの再開発計画の一環として、有楽町ビルヂングと隣接する新有楽町ビルヂングの両方を建て替えることを決定しました。

新たなビルは、オフィスや商業施設に加え、多様な機能を備えた複合ビルとして計画されています。特に、銀座エリアとの連携強化を図り、ファッションやメディア関連企業の誘致、さらには実証実験の場としての活用なども検討されています。

有楽町ビルヂングの建て替えは、単なる建替えプロジェクトにとどまらず、有楽町エリアの活性化、さらには東京の都市変容を象徴する出来事と言えます。新たなビルが、どのような姿で誕生し、街に活気を与えるのか、今後の展開が注目されます。

建築概要

有楽町ビルヂングは、低層部（3階まで）に白い大理石の柱とアルミニウムの壁、中層部（4階以上）にワインレッドのカーテンウォールを採用するなど、洗練されたデザインが特徴的でした。

脚注

参考文献に記載されている情報に基づき記述しています。

三菱地所『丸の内百年の歩み 三菱地所社史下巻』（1993年）
鈴木伸子『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』（2016年）

関連事項

新有楽町ビルヂング：有楽町ビルヂングの北側に位置し、同様に建て替えが予定されているビル。

参考情報

三菱地所の公式ウェブサイトに掲載されている有楽町ビルヂングに関する情報も参照ください。

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