有楽町三億円事件

有楽町三億円事件

有楽町三億円事件は1986年11月25日、東京都千代田区の三菱銀行有楽町支店で発生した現金強奪事件です。この事件は、午前8時頃に起こり、現金輸送車が3人組の犯人に襲われ、約3億3000万円の現金と有価証券が盗まれました。この事件が注目されたのは、約18年前に府中市で起こった「三億円事件」と強い関連性があったためで、「第二の三億円事件」とも呼ばれるようになりました。

事件の詳細はこうです。三菱銀行有楽町支店は東京交通会館の路面に位置しており、現金輸送車はそこで貨物を届けるために到着しましたが、待ち構えていた犯人たちによって襲撃されました。この強奪事件の特異性は、金額の多さと手口の大胆さにあり、当時の日本社会に衝撃を与えました。

事件から約1年後の1987年10月、フランス警察から提供された指紋リストと、事件によって残された指紋を照合した結果、この強盗はフランス人3人とアルジェリア人1人からなる国際的な強盗団によるものであることが判明しました。警視庁はICPO（国際刑事警察機構）を通じて国際指名手配をかけ、数ヶ月後、加害者の一部がフランスで逮捕されました。また、主犯格は1988年4月にメキシコで逮捕され、事件はついに解決を見ました。

この事件が解決されたことは、府中市での三億円事件に対する「リベンジ」とも見なされ、警視庁にとって重要な成果となりました。事件が発生した銀行支店は、その後、東京三菱銀行京橋支店と統合され、ATM専用のコーナーが設置される形で後に再利用されました。現在は「ATMコーナー有楽町」として利用されています。

有楽町三億円事件は、様々なメディアでも取り上げられています。2001年にはテレビ番組『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』で事件が特集され、当時の警視庁鑑識課の職員が出演しました。また、2008年には『指紋捜査官・塚原宇平の神業』がこの事件を元にしたエピソードを放送し、警察の捜査の技巧と緊迫感を描きました。他にも、事件を扱った雑誌や書籍が数多く出版され、国民の関心をひき続けています。

さらに、1992年には「学習にやくだつマンガの本」が警察官と消防官の職業を扱った学習漫画でこの事件に触れていました。2002年には『プロジェクトX挑戦者たち』のノベライズ本が出され、事件の詳細や捜査の経過が綴られています。著者の吉野彰は、NHKのカルチャーラジオにおいて警察から事情聴取を受けた経緯を記しています。

有楽町三億円事件は、単なる強盗事件にとどまらず、国際犯罪の一端を示すものであり、被害金額とその後の捜査成功が日本の警察組織にとっての重要な業績として記憶されています。

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