有田市立有田市民球場

マツゲン有田球場

和歌山県有田市に立地する有田市立有田市民球場は、地域における野球振興の拠点の一つとして機能しています。この球場は、施設命名権の売却に伴い、現在は「マツゲン有田球場」という愛称で広く認識されています。

歴史

球場は1994年2月22日に建設が始まり、翌年の1995年8月31日に竣工しました。完成以来、主に高校野球をはじめとするアマチュア野球の公式戦会場として利用されています。また、地元の社会人野球クラブチームであるマツゲン箕島硬式野球部（かつての和歌山箕島球友会）が、1996年の創設当初から主要な練習施設として使用しています。同チームは2011年4月1日より、この球場の指定管理者としても運営に携わっています。

施設の現状と課題

築年数は比較的浅いものの、箕島漁港に近い海岸沿いに位置するという地理的な要因から、塩害による設備への影響が深刻化しています。特にスコアボードの一部には腐食が見られるなど、施設の老朽化が目立つようになってきています。有田市はこうした状況に対応するため、2008年度中に約820万円を投じて大規模な改修工事を実施する計画を進めていました。

歴史的な交流試合

この球場は、野球史に残るある出来事と縁があります。1979年の全国高等学校野球選手権大会において、和歌山県代表の箕島高校と石川県代表の星稜高校が延長18回の激闘を繰り広げ、箕島高校がサヨナラ勝利を収めた試合は語り草となっています。この熱戦を記念し、両校のOBは10年ごとに交流戦を行って親睦を深めています。その一環として、箕島高校の創立100周年記念事業として企画された両校の現役部員による交流試合が、2007年11月18日にマツゲン有田球場で行われました。この試合では、星稜高校が19対6で勝利を収めました。

命名権の導入

施設の維持管理費用の確保に苦慮していた有田市は、新たな財源を確保するため、2007年6月から市のウェブサイト上で市民球場の命名権の公募を開始しました。上述の通り、塩害の影響を受けやすい立地条件から、施設の維持管理には多額の費用がかかるため、命名権の売却が決定されました。応募は和歌山市に本社を置き、県内で食品スーパーを展開する株式会社松源1社のみでした。松源は、和歌山箕島球友会への支援など、以前から県内のスポーツ振興に積極的に貢献しており、その応募内容は「年間60万円、10年契約」というものでした。この契約は2007年10月5日に調印式が行われ、同年11月1日からの契約期間中、施設の公式な愛称として「マツゲン有田球場」が使用されることになりました。

さらに市は、球場内に112箇所の広告スペースを設定し、松源に広告主の仲介を依頼して募集を進めています。広告掲載料は1区画あたり数万円から最高15万円となっており、全ての区画が契約に至った場合、年間で最大750万円の広告収入が見込まれます。2008年2月末の時点では約40社との契約が成立しており、市はこの広告収入を前述の大規模改修費用の財源に充当したい意向を示しています。改修工事の実現に向けて、さらなるスポンサー獲得を目指している状況です。

施設概要

グラウンド面積：14,300平方メートル
両翼：98メートル、中堅：122メートル
内野：黒土、外野：人工芝
スコアボード：パネル式
収容人員：6,300人
内野席：メインスタンド部分のみ椅子席
外野席：スタンドなし

交通アクセス

紀勢本線箕島駅から、中紀バスの辰ヶ浜線「矢櫃」行に乗車し、「辰ヶ浜」バス停で下車後、徒歩でおよそ10分程度です。

関連項目

日本の野球場一覧

外部リンク

* マツゲン有田球場（特定非営利活動法人和歌山箕島球友会）

（本記事は2008年頃の情報に基づいて記述されています）

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