有馬一純

有馬一純：数奇な運命を辿った丸岡藩の世嗣

有馬一純（ありま かずずみ）は、江戸時代後期に越前国丸岡藩の世嗣でありながら、その生涯において様々な事情により幾度も改名を繰り返した人物です。

生涯

寛政元年（1789年）、有馬一純は薩摩藩主・島津重豪の子として江戸の薩摩藩芝邸にて誕生しました。母は側室・石井氏であり、初名は時之丞と名付けられました。翌年には「重豪四男」として公式に届け出がなされ、享和3年（1803年）には諸之丞と改名しています。

文化元年4月10日（1804年5月19日）、丸岡藩5代藩主・有馬誉純の婿養子となり、有馬家の後継者としての道を歩み始めました。正室は誉純の娘である国子。同年4月27日には丸岡藩江戸藩邸に入り、「有馬蔵人一純」と改名しました。同年12月16日（1805年1月16日）には諸大夫に列せられ、肥前守に任じられています。

しかし、順風満帆とはいかず、文政2年2月17日（1819年3月12日）に、病弱を理由として家督を相続する前に廃嫡され、離縁されることとなりました。これにより有馬家を去り、島津家の部屋住みとなり、「島津左近久亮」と再び改名。さらにその3年後の文政5年（1822年）には「久昵」と改名しています。

天保5年（1834年）、有馬一純は田浦にてその生涯を閉じました。墓所は福昌寺にあり、法名は「本光院殿瑞巌永祥大居士」です。

正室・国子との間には一人娘・冬姫を儲けており、冬姫は祖父・誉純の養女となり、有馬徳純の正室となっています。また、島津家に戻ってからの文政6年には尾張屋新蔵の娘との間に善次郎という息子を儲け、善次郎は兄・島津斉宣の養子となりましたが、誕生からわずか1か月で亡くなっています。

このように、有馬一純は薩摩藩島津家と丸岡藩有馬家という二つの名家の間で翻弄され、数奇な運命を辿った人物でした。その短い生涯の中で、幾度も名前を変え、様々な役割を担いながらも、最終的には病に倒れ、歴史の影に消えていったのです。

参考文献

* 「近秘野艸」「麟址野艸」（『鹿児島県史料』「伊地知季安著作史料集六」所収）

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