有馬口駅

神戸電鉄有馬口駅：歴史と交通の要衝、そして安全対策の課題

神戸電鉄有馬線と三田線が交わる有馬口駅は、兵庫県神戸市北区有野町唐櫃に位置する、標高293mの駅です。駅番号はKB15。この駅は、三田線の起点であり、神戸電鉄の路線における重要な拠点となっています。有馬線と三田線の運行システムにおいて、新開地方面からの列車の大半が三田線に入るため、有馬温泉方面が実質的に支線としての役割を担っています。

歴史を刻む駅舎

有馬口駅の歴史は古く、1928年（昭和3年）11月28日、神戸有馬電気鉄道の湊川～電鉄有馬（現在の有馬温泉）間の開通と同時に、「唐櫃駅」として開業しました。その後、1947年（昭和22年）1月9日には三木電気鉄道との合併により神有三木電気鉄道（現在の神戸電鉄）の駅となり、1951年（昭和26年）3月20日には「有馬温泉口駅」に、そして1954年（昭和29年）9月1日には現在の「有馬口駅」に改称されました。

2006年（平成18年）には、構内で2度にわたる脱線事故が発生。これにより、運行ダイヤに影響が出ました。事故原因究明と安全対策強化のため、国土交通省近畿運輸局による保安監査が行われ、神戸電鉄は改善計画の提出を義務付けられました。調査の結果、老朽化した分岐器が事故の一因であると断定され、神戸電鉄は老朽化した分岐器の交換、ホーム拡幅、曲線緩和などの安全対策に着手しました。同年11月には分岐器の交換が完了し、事故前のダイヤが再開されました。

2013年（平成25年）5月には、再び構内で脱線事故が発生。この事故により、一部区間で運転が一時停止されました。事故後、脱線箇所の分岐器を撤去し、同年6月1日には運転を再開しましたが、新開地方面からの有馬温泉への直通運転は一時的に休止となりました。その後、配線の変更工事が行われ、2014年（平成26年）6月28日にはダイヤ改正を実施、新開地～有馬温泉間の直通運転を再開しました。

駅構造と設備

有馬口駅は、島式2面4線のホームを持つ地平駅です。ホームの有効長は4両分。駅舎は下り線側三田寄り、そして上り線側三田寄りにも無人改札口があります。ホームと改札口間は構内踏切で結ばれており、無人改札口には券売機がないため、発駅証明証を発行機で取得してから駅舎で乗車券を購入するシステムとなっています。また、駅構内通行証を用いた構内通行も可能です。

かつては発車案内標がなく、自動放送も固定音声のみでしたが、2008年までに神戸電鉄初となるフルカラーLED発車標と詳細な自動放送が導入され、さらに英語放送も開始されました。これは神戸電鉄において初の試みでした。

配線上、2番線と4番線は三田方面にはつながっていません。新開地、有馬温泉、三田方面からの入線経路、各方面への発車経路は複雑な配線により制御されています。2013年6月1日の配線変更後、有馬温泉方面の発着は4番線のみとなり、2番線は休止状態でしたが、2014年6月28日のダイヤ改正で2番線の使用が再開されました。

駅周辺とアクセス

駅周辺には有馬街道が走り、昭和13年（1938年）7月5日大水害を悼む水難碑が建立されています。有馬温泉への観光客や、近隣住民の生活の足として、有馬口駅は重要な役割を担っています。

脱線事故と安全対策

2006年と2013年の脱線事故は、神戸電鉄の安全管理体制に大きな課題を突きつけました。事故調査報告書では、老朽化した分岐器やレール摩耗などが原因として指摘され、神戸電鉄は安全対策の強化、老朽設備の更新に力を入れています。これらの事故を教訓に、さらなる安全対策の強化が求められています。

隣の駅

有馬線：唐櫃台駅 - 有馬口駅 - 有馬温泉駅（2013年2月までは新有馬駅があった）
三田線：唐櫃台駅（有馬線） - 有馬口駅 - 五社駅

有馬口駅は、歴史と交通の要衝として、また安全対策の課題を抱える駅として、その存在感を示しています。今後、更なる安全対策の強化と、地域住民・観光客にとって使いやすい駅のあり方が問われています。

もう一度検索