新有馬駅

新有馬駅：秘境駅と呼ばれた、神戸電鉄有馬線の忘れられた駅

新有馬駅は、兵庫県神戸市北区有野町に存在した、神戸電鉄有馬線の駅です。標高354mのカタ越峠トンネル手前に位置し、周囲は山々に囲まれた、まさに秘境駅と言えるロケーションでした。1975年6月15日に営業休止、そして長きに渡る休止期間を経て、2013年2月28日に正式に廃止されました。

簡素な駅構造

新有馬駅は単式ホーム1面1線を有する地上駅で、ホームの長さは2両編成程度でした。営業休止後も駅名標が残っていた時期もありましたが、1990年代頃には撤去され、ホームはフェンスで仕切られました。その後、ホームの一部が崩落したまま放置され、廃止直前に完全に撤去されました。その簡素な構造は、駅周辺の過疎化と、休止後の放置状態を表す象徴的なものでした。

廃線寸前の過疎地

新有馬駅は、1928年11月28日、湊川駅から電鉄有馬駅（現在の有馬温泉駅）までの開通と同時に開業しました。しかし、駅周辺は次第に無人地帯と化し、1968年以降の交通調査では、常時乗客数0という記録が残っています。そのため、営業末期には1日1往復しか列車が停車せず、それも事前に乗務員に降車意思を伝えないと通過することもありました。営業休止後も駅構内には「営業休止中、乗降不可」の看板が設置され、再開の目処のない状態が長く続きました。

幻のテーマパーク構想

神戸電鉄は、新有馬駅周辺に観光施設の建設を計画していました。「神鉄有馬ユースピア」と仮称された巨大テーマパーク構想や、団地誘致構想などが存在しましたが、いずれも実現には至りませんでした。これらの計画の頓挫が、新有馬駅の再開を阻み、結果として長期間の休止状態、そして最終的な廃止へと繋がったと考えられます。

歴史を語る年表

1928年（昭和3年）11月28日: 湊川駅～電鉄有馬駅間の開通に伴い開業。
1975年（昭和50年）6月15日: 営業休止。
* 2013年（平成25年）2月28日: 廃止。

隣の駅

新有馬駅と周辺環境

新有馬駅は、駅名に「新」と付きますが、電鉄有馬駅（現在の有馬温泉駅）と同時期に開業しています。駅名と近隣の「新有馬」バス停は、太平洋戦争前に開発された新有馬温泉住宅地（現在の山口町香花園）に由来しますが、両者は直接的な関係はありません。

忘れられた駅への記録

新有馬駅は、多くの秘境駅の中でも特に過疎化が進んだ結果、営業休止から廃止まで長期間を要した珍しいケースです。その歴史は、地方における鉄道の衰退と、過疎化問題を象徴的に示しています。インターネット上には、駅名標が残っていた頃の貴重な写真なども残されており、かつて存在した駅の面影を偲ぶことができます。新有馬駅は、日本の鉄道史における、忘れられた駅の一つとして記憶されています。

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