服部敏良

服部敏良の生涯と業績

服部敏良（はっとり としろう、1906年11月15日 - 1992年6月16日）は、日本の医学界において特にその研究業績が評価される医師であり、医学史の研究家としても知られています。岐阜県山県郡高富町（現在の山県市）で生を受けた彼は、名古屋医科大学（現・名古屋大学医学部）を卒業し、1936年に「アドレナリンとヒスタミンの胃液分泌に及ぼす拮抗作用に就いての臨床的並びに実験的研究」で医学博士号を取得しました。

その後、愛知県一宮市にある山下病院に勤務し、1942年から1976年まで院長を務めました。彼の医療活動は、病院業務だけでなく、深い研究に基づいた著作活動にも及びました。

学問の探求

服部は医師業の傍ら、日本医学史に関する数々の著書を執筆しました。特に1965年に発表した『日本医学史、とくに鎌倉時代医学史の研究』では、その業績が高く評価され、第18回中日文化賞を受賞しました。また、1973年に『日本中世医学史の研究』を通じて、駒澤大学より文学博士号も取得しました。

彼の研究は、奈良時代、平安時代、鎌倉時代など、様々な時代の医学史を網羅しており、著書の中には『奈良時代医学の研究』や『平安時代医学の研究』など、古代から中世にわたる医学の変遷を詳細に解説したものが含まれています。特に『平安時代医学史の研究』は、当時の医学の実情や特性を浮き彫りにしており、今でも興味深い資料とされています。

家族と後継

服部敏良の研究熱心な姿勢は、彼の子息にも引き継がれています。長男の服部外志之（1937-2014）も医師として活躍し、名古屋大学から医学博士を取得しました。外志之は1976年から2000年まで山下病院の院長を務め、2010年には最高顧問の地位に就きました。

代表的な著作

服部敏良の著作は、多岐にわたる分野をカバーしており、それぞれが貴重な歴史的資料としての価値を持っています。彼の代表作には、以下のようなものがあります：

• - 『奈良時代医学の研究』（東京堂, 1945）
• - 『平安時代医学の研究』（桑名文星堂, 1955）
• - 『鎌倉時代医学史の研究』（吉川弘文館, 1964）
• - 『江戸時代医学史の研究』（吉川弘文館, 1978）
• - 『英雄たちの病状診断 その病気・性格が日本の歴史を変えた』（PHP研究所, 1983）

これらの著作は、日本の医学史の理解に大いに寄与しており、多くの研究者や医療従事者にとって必読の文献といえるでしょう。

結論

服部敏良は、彼の知識と情熱を通じて日本の医学史に深い足跡を残した偉大な医師でした。彼の学問に対する真摯な姿勢と多くの著作は、今なお多くの人々に影響を与えています。彼の業績は、医学だけでなく、文化史や学術の分野でも高く評価され、長きにわたり語り継がれることでしょう。

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