望月遊馬

望月遊馬

望月 遊馬（もちづき ゆま）は、1987年7月14日生まれの日本の詩人。広島県広島市に生まれ、現在に至るまで詩作を中心に多方面で活動しています。知性の高い国際グループであるMENSAの会員としても知られる存在です。

詩人としての歩み

望月遊馬の詩人としてのキャリアは、2006年に大きく動き出しました。この年、第44回現代詩手帖賞を詩人の最果タヒ氏と同時に受賞し、注目を集めます。同年には、自身初の詩集となる『海の大公園』を刊行。この第一詩集は翌2007年には第12回中原中也賞の候補に選ばれるなど、初期から高い評価を得ました。

その後、2012年に第二詩集『焼け跡』を発表。この詩集は2013年に再び中原中也賞（第18回）の候補リストに名を連ねたほか、第4回鮎川信夫賞の候補ともなるなど、主要な詩の賞で継続的に評価されることとなります。

2015年には第三詩集『水辺に透きとおっていく』を刊行。この作品は、権威ある歴程新鋭賞の第26回受賞作に選ばれる栄誉に浴しました。また、同年には第21回中原中也賞の候補にも挙がるなど、着実にその地位を確立していきます。

第四詩集『もうあの森へはいかない』が2019年に第70回H氏賞の候補となったのに続き、第五詩集『燃える庭、こわばる川』も2023年に第73回H氏賞の候補に選出されました。そして2024年、第六詩集『白くぬれた庭に充てる手紙』によって、第62回歴程賞を受賞。現代詩壇におけるその存在感と貢献が改めて認められる形となりました。

作品世界の特色

望月遊馬の詩は、独特の作風によって知られています。その作品世界は、現実離れした寓話のような雰囲気と、現代の都市生活や若者の日常における具体的な情景とが融合されている点が特徴です。この二つの要素が繊細に織り交ぜられることで、読者に鮮やかで色彩豊かなイメージを喚起させます。

初期には散文詩を中心とした作品を多く発表していましたが、第二詩集『焼け跡』以降は、余白を効果的に用いた行分けの詩を多く手掛けるようになり、表現の幅を広げています。

多岐にわたる活動

望月遊馬は詩作のみならず、幅広い分野でその活動を展開しています。これまでに、『現代詩手帖』『文藝春秋』『文學界』『群像』『ユリイカ』といった主要な文芸誌や詩誌、さらには『読売新聞』『朝日新聞』『中国新聞』などの一般紙にも詩やエッセイを寄稿し、発表の場を広げてきました。

文学に関連するユニットやグループ、「サクラコいずビューティフルと愉快な仲間たち」「ガニメデ」「Aa」にも参加しています。

メディアへの露出も多く、『読売新聞』『中国新聞』『山陰中央新報』などから取材を受けた経験を持ち、FMラジオ番組「ワハハ！同盟間奏曲集」「渋谷のポエトリーラジオ」「さくらぴあスマイルトーク」などにも出演しています。

また、他の芸術分野とのコラボレーションも積極的に行っています。詩集『焼け跡』に収められた詩「家具の音楽」は、作曲家の中橋祐紀氏によって楽曲のモチーフとして用いられ、同曲は日本音楽コンクールの作曲部門で3位を獲得し、FM NHKで放送されました。ピアニストの青柳いづみこ氏と音楽家の谷川賢作氏によるコンサート「あべこべのゆびきり」では、彼の詩「シフォンの歌」がスクリャービンのピアノ曲と共に朗読されるという企画も実現しています。さらに、画家である武内雄大氏とのコラボレーションも知られています。

主な詩集

『海の大公園』（poenique、2006年）
『詩のリレー』（共著、ふらんす堂、2007年）
『焼け跡』（思潮社、2012年）
『白くぬれた庭に充てた手紙』（カニエ・ナハ プロデュース、2014年）
『水辺に透きとおっていく』（思潮社、2015年）
『水門へ』（archaeopteryx、2017年）
『もうあの森へはいかない』（思潮社、2019年）
『燃える庭、こわばる川』（思潮社、2022年）
『光を射よ！』（カニエ・ナハ プロデュース、2023年）
『白くぬれた庭に充てる手紙』（七月堂、2024年）

現代詩壇において独自の立ち位置を築き、精力的に活動を続ける詩人です。

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