朝倉停留場

朝倉停留場：高知大学の玄関口、そして歴史を刻む路面電車の駅

高知市曙町二丁目に位置する朝倉停留場は、とさでん交通伊野線沿線にある路面電車の停留場です。高知大学朝倉キャンパスに近接していることから「高知大学前」の副名称も持ち、学生たちの活気に満ちた街並みに溶け込んでいます。単線の伊野線において、鏡川橋停留場から伊野停留場間の交換駅としての役割も担い、運行系統の境界となっています。

歴史と変遷：兵営前停留場から大学街の駅へ

朝倉停留場の歴史は古く、1907年（明治40年）、伊野線の鏡川橋停留場から咥内停留場間の延伸開通と同時に開業しました。当時、停留場周辺には歩兵第44連隊の兵営があり、「営所前停留場」という名称でした。現在の「朝倉停留場」への改称は1940年（昭和15年）頃と推測されています。その後、2006年（平成18年）に高知大学の要望を受け、「高知大学前」の副名称が追加されました。

停留場の運営形態も大きく変化してきました。かつては「駅長」が配置され、伊野方面への閉塞は通票式で行われていました。しかし、2023年4月には閉塞方式が特殊自動閉塞（軌道回路検知式）に変更され、「駅長」の配置は廃止されました。この変更は、2022年3月に公表された中期経営計画に基づくものでした。

通票式閉塞時代には、伊野方面への発車時に駅長による通票の授受が必須でした。しかし、通票を受け取らずに発車するインシデントが複数回発生しており、2016年には無線付きのカバンキャリアの使用、2019年には「駅長」の復活といった対策が講じられました。これらのインシデントは、安全管理体制の強化を促す契機となりました。

停留場構造：併用軌道区間における工夫

朝倉停留場は、伊野線の併用軌道区間に位置し、道路上に乗り場があります。鴨部停留場から朝倉停留場までの区間は道路幅が狭いため、安全地帯となるホームは設置されていません。代わりに道路上に白線を引いて乗り場を示しています。

列車交換が可能な複線構造で、下り線は直線、上り線は北側に分岐しています。乗り場は相対式で、南側に伊野方面行き、北側にりまや橋方面行きの乗り場があります。朝倉停留場始発のりまや橋方面行きの電車は、伊野方面行きの乗り場で降車扱いした後、そのままの位置で反対側のドアを開けて乗車扱いをします。

停留場の南側には、待合室があります。2019年3月の「駅長」復活に伴い、駅長待機スペースの確保のため、同年4月に改築されました。

周辺環境：大学街の活気

停留場の南には高知大学朝倉キャンパスが広がり、学生たちの活気に満ちた雰囲気です。周辺には四国銀行朝倉支店、ベスト電器高知西店、高知朝倉郵便局などの施設があり、生活利便性も高いエリアとなっています。また、「朝倉高知大学前」バス停留所も近くにあります。

隣の停留場

まとめ

朝倉停留場は、歴史と変化を繰り返しながら現代に繋がる路面電車の駅です。高知大学という存在が、その周辺環境や停留場の役割に大きな影響を与えてきました。通票式閉塞から自動閉塞への移行は、鉄道技術の進歩と安全管理の向上を象徴する出来事と言えるでしょう。これからも、高知大学の玄関口として、そして歴史を刻む路面電車の駅として、その役割を担っていくことでしょう。

もう一度検索