木下利次

木下利次（羽柴利次）について

江戸時代前期に活動した木下利次は、旗本として歴史に名を刻んだ人物です。彼はまたの名を羽柴利次とも呼ばれ、豊臣宗家の血を引く特別な存在でした。彼の家系や生涯、さらにその子孫について詳しく見ていきましょう。

生い立ちと背景

木下利次は備中国の足守藩主、木下利房の次男として誕生しました。母方の叔父には、小早川秀秋として知られる羽柴秀俊がいます。彼の家族は豊臣家に深い関わりを持っており、その後の運命が大きく影響を受けることとなります。彼が生まれた時代は、豊臣政権が崩壊し、混乱が続く時期でした。

大坂の陣を経て豊臣の血筋は滅亡の危機を迎え、利次は大叔母である高台院の養子として羽柴家に迎えられました。このことは彼の人生において大きな転機となりました。

旗本としての歩み

しかし、高台院の死後、幕府によって利次の苗字は「木下」に改姓されました。こうして羽柴家は木下家として新たなスタートを切ります。彼は高台院の莫大な遺産の一部を相続することが許されましたが、その大半は削減され、結局は近江国の3000石と豊臣家の社稷を継承することが叶いました。最終的に、彼は旗本として江戸幕府に仕官しました。

利次は貞享4年（1687年）に致仕し、自らの長男、利値に家督を譲りました。この時期、彼は多くの経験を積み、幕府の政治に貢献したことでしょう。彼は元禄2年（1689年）に83歳で他界し、その生涯に幕を閉じます。彼の死後も、木下家は幕府内で名を残し続けました。

子孫の繁栄

利次の子孫は、上級旗本として江戸幕府に仕え続けました。その中でも注目すべきは、江戸幕府第12代将軍にあたる徳川家慶です。彼は利次の女系子孫として、家系を繋ぐ重要な役割を果たしました。利次から始まり、木下利値、そして女子から天野久斗、天野久豊へと続く系譜は、豊臣家の名残を今に伝えています。

具体的な系譜は次の通りです。木下利次から木下利値へ、そして女子を通じて天野家の子孫へと続き、その末裔には徳川家斉の側室であった香琳院がいます。これを経て徳川家慶に至る系譜は、彼らが当時の日本の権力構造の中でいかに重要な役割を果たしていたかを物語っています。

まとめ

木下利次（羽柴利次）の生涯は、江戸時代の激動の時代における旗本としての役割、また豊臣家の伝承を受け継ぐ重要な存在でした。家族のつながりやその後の子孫に至るまで、多くの歴史的意義が孕まれていることが、彼の存在をさらに引き立てています。旧家の結束を守り続けた木下家の軌跡は、今なお日本の歴史に影響を与え続けています。

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