木下友敬

木下友敬（きのした ゆうけい）は、1895年10月24日に生まれ、1968年11月14日に没した日本の政治家であり、医師、俳人でもありました。参議院議員（1期）と下関市長（1期）を歴任し、医学博士の学位を持ちます。旧姓は平川でした。

経歴

山口県出身の木下友敬は、1921年に九州帝国大学医学部を卒業。その後、九州歯科医専で教授を務めました。1927年からは下関市で内科医として開業し、地域医療に貢献します。医師としての活動と並行して、社会活動にも積極的に参加しました。

1956年の第4回参議院議員通常選挙では、山口県選挙区から日本社会党公認で立候補し、見事当選を果たします。参議院議員として1期を務めた後、1963年には下関市長選挙に出馬し、当選。市長として、下関市の発展に尽力しました。1966年秋には、その功績が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しています。

1967年まで下関市長を務め、1968年11月14日に73歳で死去。その死没日をもって従四位に叙され、銀杯一組を賜りました。これは、彼の長年の功績に対する政府からの深い敬意の表れと言えるでしょう。

木下友敬は、医療分野だけでなく、地域社会や文化活動にも幅広く貢献しました。山口県医師会会長、下関山岳会会長、山口県山岳連盟会長を歴任し、地域社会の発展に尽くしました。特に山岳会では、自然保護や登山道の整備に力を注ぎ、多くの人々に自然の素晴らしさを伝える活動を行いました。

文化人としての顔も持ち、大学生時代から吉岡禅寺洞に師事し、俳句の才能を開花させました。『天の川』同人としても活動し、1949年には俳句雑誌『舵輪』を創刊、主宰として多くの俳人を育てました。彼の俳句は、口語俳句の先駆けとして、現代俳句に大きな影響を与えました。

著書

句集「聴診器」：医師としての視点と俳人としての感性が融合した作品集です。日々の診療の中で感じたことや、患者との触れ合いを通じて得た感動が、繊細な言葉で表現されています。
遺文集「長い道」：木下友敬の人生観や哲学が凝縮された作品集です。彼の生きた時代背景や、彼が直面した困難、そしてそれを乗り越えるための信念が綴られています。

木下友敬は、医師として地域医療に貢献する一方で、政治家として地域社会の発展に尽力し、俳人として豊かな文化を育みました。彼の多岐にわたる活動は、今日の私たちに多くの示唆を与えてくれます。彼の生涯は、地域社会への貢献と文化振興の重要性を教えてくれるでしょう。

参考文献

* 『議会制度百年史 貴族院･参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。

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