吉岡禅寺洞

吉岡禅寺洞

吉岡禅寺洞（よしおか ぜんじどう、1889年7月2日 - 1961年3月17日）は、日本の俳人であり、本名は吉岡善次郎でした。

生涯

福岡県福岡市箱崎で生まれた吉岡禅寺洞は、高等小学校を卒業後、1903年から三宅吟志に俳句の指導を受けました。彼は『九州日報』の伊形青楓選や『日本新聞』の河東碧梧桐選に投句し、1905年には「ホトトギス」会報欄の高濱虚子選に初めて入選しました。俳号は、当初は禅寺童、後に禅寺堂を経て、最終的に禅寺洞と名乗るようになりました。

1914年、高濱虚子が俳壇に復帰すると、吉岡禅寺洞は再び「ホトトギス」への投句を再開しました。1917年には、清原枴童とともに福岡に虚子を招き、太宰府を案内しました。この際、虚子が詠んだ「天の川の下に天智天皇と臣虚子と」という句にちなんで、翌1918年に清原枴童らと俳句雑誌「天の川」を創刊し、主宰となりました。「天の川」では、富安風生、横山白虹、芝不器男、神崎縷々など、多くの才能ある俳人を育成しました。

1929年には「ホトトギス」の同人となりましたが、次第に有季定型や花鳥諷詠といった伝統的な俳句の形式から離れるようになり、九州大学俳句会を中心に新興俳句運動に関わるようになりました。そのため、1936年に「ホトトギス」を除名されることとなりました。第二次世界大戦後、吉岡禅寺洞は有季定型や文語俳句と決別し、口語・自由律・無季俳句を推進しました。「天の川」は、自由律俳句の重要な拠点の一つとなり、彼は口語俳句協会の会長も務めました。

1961年3月17日、71歳で死去。死後、「天の川」は禅寺洞追悼号を発行し、終刊となりました。句集としては『銀漢』や『新墾』があります。辞世の句は「冬木の木ずれの音　誰もきいていない」であり、この句を刻んだ句碑が、菩提寺である金龍山一光寺の境内に建てられています。

参考文献

復本一郎 「吉岡禅寺洞」 齋藤慎爾、坪内稔典、夏石番矢、榎本一郎編 『現代俳句ハンドブック』 雄山閣、1995年、101頁

関連人物

山田全自動：筆名の由来としている。

外部リンク

現代俳句人名事典における吉岡禅寺洞の俳句
吉岡禅寺洞の句の鑑賞 - ウェイバックマシン (増殖する俳句歳時記)

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