木下智佳子

木下智佳子（きのした ちかこ）は、1963年8月25日、東京都板橋区に生まれた。旧姓は前川である。学習院に幼稚園から大学まで一貫して学び、学習院大学文学部心理学科を卒業後、1986年にテレビ朝日へアナウンサーとして入社した。

アナウンサーとして、彼女は報道、情報、バラエティ、スポーツといった多岐にわたるジャンルの番組を担当した。特に1989年から1990年3月にかけては、『ミュージックステーション』の番組開始以来、初めて女性のサブ司会者として起用され、タモリと共に番組を進行したことでも知られる。また、『こんにちは2時』の司会を務めていた時期には、共演者であるなぎら健壱とのコーナーで替え歌を披露した際、その音程のずれから西川峰子に厳しく注意されたというエピソードも残っている。主な出演番組には、前述の『ミュージックステーション』のほか、『パリ・ダカール・ラリー』や『あまから問答』などがある。同期入社のアナウンサーには、後にフリーアナウンサーとなった松井康真（『ミュージックステーション』でも共演経験がある）、退社してフリーアナウンサーとなった雪野智世、そして退社後に国際連合広報センター東京事務所長を務めた曽根かおるらがいた。

1996年6月26日には、ベンチャー企業の会社員と結婚している。アナウンサーとして活躍する一方で、彼女のキャリアは多角的に展開していった。2000年には、アナウンス部員でありながら報道の現場にも身を置き、『ニュースステーション』において介護保険をテーマにした特集のディレクターを務めたほか、経済部記者として東京証券取引所から連日リポートを行うなど、取材や番組制作の分野でも能力を発揮した。

2003年には、新たに設置されたお客様フロント部へ異動する。ここでは、学生や生徒たちのための局内見学プログラムや、小中学校でテレビ局の仕事について教える出前授業といった、地域とテレビ局を結ぶ教育啓発活動の基盤づくりに尽力した。

さらに2005年には、民間の放送局が加盟する財団法人民間放送教育協会（民教協）の業務部に移籍する。ここでは、教育的ドキュメンタリー番組のプロデューサーとして、『いきいき!夢キラリ』、『生きる×2』、そして『発見!人間力』といった番組の制作に携わった。また、テレビ朝日のアナウンサーが出演する舞台「voice」では、初代プロデューサーとして、舞台公演をウェブでの放送やDVD化といった複数のメディア展開へと結びつける企画を手がけた。

現在は、テレビ朝日福祉文化事業団に所属し、児童福祉に関わる事業を担当しており、社会貢献活動にも積極的に関わっている。アナウンサーとして広く知られた存在から、報道、制作、教育、そして福祉と、その活動の場を広げながらキャリアを積み重ねている人物である。

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