木之免町

木之免町について

木之免町（きのめちょう）は、愛知県名古屋市熱田区に属する独立した町名です。この地域は、名古屋市の南部に位置しており、近隣には須賀町、千年一丁目、大瀬子町、田中町があります。住居表示が未実施のため、現在の町名としての認識がされにくい側面があります。

地理的特徴

木之免町は、名古屋市熱田区の南部に位置し、周囲の地域と接しています。東側は須賀町、西側は千年一丁目、南側は大瀬子町、北側は田中町と隣接しており、それぞれの町との境界線が引かれています。この地域は、都市の中心部にありながらも、昔の面影を残した風景が広がっています。

名の由来と歴史

木之免町の名前には興味深い由来が存在します。その一つには、熱田神社の祝詞を担当していた田島丹波が、神社の祭りの際に薪を提供する義務を持っていたことが影響していると言われています。また、古来から薪や材木を熱田神宮に供給する業者「木挽き」が、後に「木之免」と呼ばれるようになったとも考えられています。町名は昔は「木ノ免」、「木ノ目」とも表記されていました。

中世の木之免町

歴史的には、木之免町周辺はかつて海に囲まれており、熱田浜の一部として知られていました。木之免町から大瀬子町にかけては、海辺に数軒の魚問屋が存在し、織田信長時代にはすでに魚が清州に運ばれていました。さらに、白鳥町周辺には「中島」と呼ばれる島があったとの記録もあり、当時の人々の生活の一端を伺い知ることができます。

近世の商業発展

近世に入ると、木之免町は愛知郡熱田町の一部として発展を遂げ、約71間の地域が魚問屋の独占提供エリアとなりました。この地域では、毎年の神事が行われるたびに薪や米が供給され、「木之免」という名称もその活動に由来があるとされています。また、魚市場が設けられ、近隣では活発な商業活動が行われていました。文政年間にはさらに活動が広がり、内陸地方への販売が行われるようになりますが、天保年間からは水運を利用した魚市が堀川沿岸に開設されたことで、木之免町の商業活動にも影響を与えました。

明治以降の変遷

明治時代には、魚問屋の特権は消滅しましたが、魚の仲買人や小売業者は依然としてこの地域に多く居住していました。そのため、木之免町は日本有数の魚市場として知られることとなります。しかし、大正時代に新たに名古屋市中央卸売市場が開設されると、木之免町の魚市場は次第に衰退し、1949年には閉鎖されることとなりました。市場周辺にはかつて多くの商店が立ち並んでいましたが、発展する工業と共にその姿を消していくことになります。

行政の変遷と現況

木之免町は1878年に愛知郡熱田村の一部として成立し、その後名古屋市に編入されるなど、時代によって行政の区画が変遷しています。町名の正式な変更も度々行われ、1981年には他の町名との一部統合を経ています。現在の世帯数や人口については、定期的に変動がありますが、住民の生活は比較的安定しています。また、この地域には大瀬子公園や秋葉神社などの施設があり、地域住民にとっての憩いの場となっています。

このように、木之免町はその独特な名称の由来や歴史、地理的な特性によって、現在も地域の文化や商業活動に影響を与え続けています。

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