木全忠澄

木全忠澄（きまた ただすみ）について

木全忠澄（1534年 - 1610年）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、通称は又左衛門です。彼の父は尾張国の武将、木全征詮で、忠澄はその間に生まれました。忠澄は、子孫に滝川忠征を持ち、彼らの家系は後に大きな影響を及ぼしました。

出自と背景

木全家は元々紀氏を名乗っており、先祖は古代の壬申の乱以前に紀伊国から美濃国へ移り、家臣と共に尾張国の茜部郷を開拓し、その地域で多くの土地を有していました。しかし、彼らは保元の乱や平治の乱の影響を受けて多くの領地を失い、建久年間には野上成経に領地を奪われました。その後、木全村に隠棲し、家名を改めました。室町時代には室町幕府に仕え、荘長となったこともあります。

さらに、宝暦年間には木全善鎗が忠澄の祖先とされ、忠澄自身が建立した大林寺にはその墓誌が存在しており、木全氏の姓の由来が詳述されています。

戦歴と知略

忠澄の生涯は、彼が戦国時代の激動の中で築いた顕著な戦績によって彩られています。初めに織田氏の家臣、浅井政貞に仕官し、その後、滝川一益の家老として活動しました。彼には優れた战略眼があり、特に「木全の槍」と称される槍術の名人として知られました。

小山の合戦において、忠澄は十数倍の敵を智謀で撃退しました。この合戦の中で彼は、松の茂る山の中に100人ほどの部下を隠し、敵の動向をじっくり観察しました。敵軍が気を緩めて近づいてきた際、彼は一気に鬨の声をあげさせました。その声は山に反響し、大勢の兵がいるかのように見せかけ、敵軍は驚きと混乱に陥りました。

彼はさらに、事前に準備していた部隊を3つに分けて突撃させることで、不意打ちを成功させ、多くの敵を討ち取ることに成功しました。この巧妙な戦術は後に多くの賞賛を受け、「木全」が戦略家として名声を確立した瞬間となりました。

豊臣政権下での活躍

その後、忠澄は豊臣秀吉に仕官し、近侍としての役割を果たしました。彼の能力は秀吉によっても高く評価され、豊臣家の蔵入地を管理する役割まで任されていたことが、最近の研究で明らかになっています。

死と子孫

1610年に忠澄は死去しましたが、彼の息子である長男、滝川忠征は滝川一益に仕官し、のちに徳川家康や尾張藩初代藩主・徳川義直に仕えることとなります。また、忠澄の他の子供たちも各々名を残し、木全姓の家系は尾張藩の重要な家士として生き続けました。

彼の子孫の中には、陸軍少将の木全良雄や銀行家の篠田角太郎など、明治以降に名を馳せた人物も多く、木全忠澄の影響は今なお脈々と受け継がれています。忠澄の功績と戦略は、後世にわたって多くの人々に語り継がれ、戦国時代の武将の一人としての名を不朽のものとしています。

関連書籍

• - 『使ってみたい武士の作法』 杉山頴男（2008年 並木書房）
• - 『前田慶次郎 青雲録』 山口敏太郎（2009年 ぶんか社）

また、関連する資料や研究も充実しており、木全忠澄の生涯についてさらに深く知ることができます。

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