木場車両検修場

木場車両検修場と高松車庫：都営大江戸線を支える二つの車両基地

東京都交通局（都営地下鉄）の大江戸線を支える車両基地として、江東区の木場車両検修場と練馬区の高松車庫があります。木場車両検修場は大江戸線の車両が所属し、木場公園の地下に位置しています。木場公園に隣接して東京都交通局木場庁舎が併設されており、大江戸線の中枢機能も担っています。

概要

木場車両検修場は2000年4月1日に開設されました。これは、大江戸線の全線開業を前提としたもので、それまで運用されていた光が丘車両検修場を統合し、本格的な車両検修場として機能しています。高松車庫との区別のため、交通局の資料では「木場車両検修場（木場車庫）」と表記されることがあります。

毎年夏には、はとバスの日帰りツアーで木場車両検修場の見学が実施され、普段は立ち入ることができない地下の車両基地内部を見学できます。車両の搬入は、かつては江東区内の小名木川駅を経由していましたが、同駅が2000年12月に廃止されたため、現在は根岸線根岸駅を経由し、神奈川臨海鉄道横浜本牧駅まで甲種輸送されています。この輸送は、老朽化した12-000形初期塗装車の置き換えを目的として開始され、現在は12-000形3次車以降の置換用として行われています。

建設の背景

大江戸線の路線免許申請当初は、埼玉県新座市片山に大規模な車庫用地を確保し、「片山車両工場」を設ける計画がありました。しかし、大江戸線の大泉学園方面への延伸計画が中止となったため、光が丘に半地下方式で車庫を設置することになりました。しかし、付近が住宅用地として払い下げられることが決定し、騒音問題などから設置が困難となり、最終的に光が丘に隣接する練馬区高松に車庫を設けることになりました。環状部の開業に対応するため、都立木場公園の地下に木場車庫を設けることとなりました。

車両検査

木場車庫・高松車庫はともに地下式構造であり、防災上の観点から検車部門のみが設置されています。当初、木場車庫は検車機能のみ、高松車庫は検車機能と修車機能（重要部検査・全般検査を行う整備工場機能）を有していました。しかし、地下車庫は東京都の条例による規制を受けるため、地上のような完全な設備を備えることができません。そのため、重要部検査・全般検査時には車体吊上機を使用して車体と台車を分離し、車体は仮台車に載せ、VVVFインバータや保安装置などの電子機器は高松車庫で検査を行い、台車や主電動機・ブレーキ装置などはトラックで外部の車両工場へ搬出して検査を行っていました。

当初は木場車庫にも全般検査・重要部検査が可能な工場施設を設ける計画でしたが、大江戸線環状部の建設費用を圧縮するため、馬込車両検修場に集約されることになりました。そのため、軌間が同じ1,435mmの大江戸線汐留から浅草線新橋 - 大門間に連絡線（汐留連絡線）を新設し、浅草線の馬込車両検修場において重要部検査・全般検査を行うことになりました。浅草線内では大江戸線の車両が自走できないため、E5000形が牽引して回送されます。この連絡線は2006年4月に完成し、それまで高松車庫で実施していた重要部・全般検査は馬込車両検修場で実施されるようになりました。

木場車庫の構造

木場車庫は木場公園の南側に位置し、地下2層構造となっています。地下1階には留置線、月検査線、列車検査線、臨時検査線、トロリー線があり、地下2階には留置線、洗浄線、車輪転削線があります。留置能力は8両編成39本（312両）です。

管理事務所となる木場庁舎は地下2階、地上8階建てで、建物内には保線管理所、車両検修所、電気管理所があります。

入出庫線

木場車庫への入出庫線は、清澄白河駅の中線から分岐し、複線構造で本線をアンダーパスして木場車庫に至ります。入出庫線は急曲線や急勾配があり、基地入口で地下1階部と地下2階部に分かれています。

高松車庫の概要

高松車庫は1990年10月1日に志村車両工場光が丘検修所として発足し、1997年7月16日に光が丘車両検修場として格上げされました。その後、2000年4月1日に木場車両検修場に組織統合されました。都営三田線との接続はありませんが、当初の車両基地の組織上は志村車両工場でした。

高松車庫は、元々民間の資材置き場として使用されていた用地を活用したもので、地下2層構造となっています。大江戸線放射部（光が丘 - 新宿間）の開業に対応した設備となっています。

高松車庫の構造

高松車庫も木場車両検修場と同様に地下2層構造で、南北方向に細長い構造となっています。地下1階には留置線、月検査線、全重検線、台車線、臨検線、トロリー線があり、地下2階には留置線、洗浄線、車輪転削線があります。留置能力は8両編成16本（128両）です。

地上部には、管理事務所となる高松庁舎があり、建物内には保線管理所、車両検修所、電気管理所があります。また、台車作業所や車両搬入口、緊急自動車車庫、危険物貯蔵庫、非常用資材置き場などがあります。

高松車庫への入出庫線

高松車庫への入出庫線は、光が丘駅から分岐し、都道443号線の地下を西へ進み、区道地下を南下して高松車庫に至ります。入出庫線は急曲線や急勾配があり、地下1階部と地下2階部に分かれています。

車両修繕計画

都営地下鉄の方針上、新造後10年を経過した車両についてはC修繕が行われます。12-000形の初期車両が15年を経過したため施工対象車となっていましたが、全地下型の車両基地という事情から施工できませんでした。しかし、汐留連絡線の完成により、馬込車両検修場で施工が開始されています。

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