木曽川本川橋

木曽川本川橋（きそがわほんせんきょう）

岐阜県各務原市に位置する木曽川本川橋は、東海北陸自動車道の一部として、一宮木曽川インターチェンジと川島パーキングエリアの間を結ぶ重要な橋梁です。地域の大動脈である高速道路網を支える基幹的な役割を担っています。

概要と基本情報

この橋は、1997年（平成9年）3月24日に供用が開始されました。これは、東海北陸自動車道の一宮木曽川ICから岐阜各務原IC間が開通した際と同時期にあたります。橋の全長は598.0メートルに及び、岐阜県各務原市の川島笠田町から川島北山町にかけて架設されています。

構造と架橋工法

木曽川本川橋は、構造形式として鋼3径間の曲線箱桁橋が採用されています。上り線と下り線はそれぞれ独立した構造となっており、それぞれの橋は2つの箱桁と、それを構成する4つの主桁から構成されています。この橋が曲線を描いているのは、高速道路の本線線形に合わせて設計されているためです。

本橋の建設においては、その地形的制約などを克服するため、いくつかの高度な架橋工法が組み合わせて用いられました。

1. 手延べ送り出し工法: まず、橋脚から対岸に向けて、あらかじめ地上で組み立てられた1つの箱桁を、少しずつ前方に水平にスライドさせて架設しました。この工法により、河川上での大規模なクレーン作業などを最小限に抑えることが可能となります。
2. 自動車運搬台車による移動: 先行して架設された1つの箱桁をレールのように利用し、残りの3つの箱桁は、特殊な自動車運搬台車に乗せて橋脚の位置まで運搬されました。
3. 桁降下設備による設置と連結: 橋脚位置まで移動された桁は、専用の桁降下設備を用いて正確な高さまで降ろされました。その後、先に架設された桁や隣接する構造物と精密に接合・連結され、橋梁全体が構築されました。

このように、複数の工法を組み合わせることで、効率的かつ安全な架設が実現されました。

地理的背景と関連構造物

本橋が位置する岐阜県各務原市周辺は、木曽川が南派川、本川、北派川の三つの流れに分かれる「木曽川三派川地区」として知られています。この複雑な河川地形に対応するため、東海北陸自動車道はそれぞれの流れを渡る必要があり、木曽川南派川橋、木曽川本川橋、そして木曽川北派川橋の三つの橋が連続して架けられています。

特筆すべき点として、高速道路上に設置されている「木曽川」という河川名の標識は、この三つの橋のうち木曽川本川橋にのみ表示されています。これは、三派川の中でも「本川」が、木曽川の主要な流れとして公式に認識されていることを示唆しています。

また、この橋の周辺では、過去に残念ながら水難事故が発生した事例が報告されています。河川敷への立ち入りや、水辺での活動にあたっては、十分な注意と安全確保が求められます。

木曽川本川橋は、その複雑な構造と建設工法、そして木曽川三派川地区という特殊な地理的環境の中で、高速道路交通を支える重要なインフラ施設として機能しています。

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