木曽川橋梁 (東海道新幹線)

木曽川橋梁

木曽川橋梁（きそがわきょうりょう）は、日本の大動脈たる東海道新幹線が、愛知県一宮市と岐阜県羽島市という両県の境を流れる木曽川を渡河するために建設された重要な鉄道橋です。高速鉄道網の根幹を成すこの橋は、日々多くの新幹線車両の安全な運行を支えています。

概要

この橋梁は、東海道新幹線のルート上において、主要駅である名古屋駅と岐阜羽島駅の間に位置しています。その歴史は、日本の高度経済成長期を象徴する一大プロジェクトであった東海道新幹線全体の歴史と深く結びついています。具体的には、1964年（昭和39年）10月1日という、東海道新幹線が開業したその時に合わせて、木曽川橋梁も供用が開始されました。これは、新幹線計画の初期段階からこの橋の建設が不可欠な要素として位置づけられていたことを物語っています。

橋梁の建設は、日本の土木建築分野で長い歴史を持つ大成建設が担当しました。橋梁を支える基盤となる橋台や橋脚の構築には、当時最新かつ信頼性の高い工法であったニューマチックケーソン工法が採用されています。この工法は、水圧の高い地盤条件下でも安全かつ確実に基礎を構築できる技術であり、木曽川という大河に構造物を据え付ける上で極めて有効でした。こうして強固な基礎の上に、橋梁の上部構造が築かれました。

上部構造には、強度と経済性のバランスに優れた平行弦ワーレントラス形式が採用されています。ワーレントラスは、斜材を交互に配置することで三角形を連続させ、効率的に荷重を伝達する構造です。中でも平行弦タイプは、上下の弦材が水平であるため、製作や架設が比較的容易という利点も持ち合わせています。全長995メートルという長大な橋梁を構成するため、複数のトラス桁が連結されています。

木曽川橋梁は、日本の高速道路網の要である名神高速道路の木曽川橋と非常に近い位置、具体的にはそのすぐ下流側に架かっています。二つの重要な交通インフラが並行して存在するこの場所では、景観への配慮も重要な課題とされました。建設時には、周辺の自然環境や既に存在する構造物との調和を図るため、橋脚の配置や間隔などが慎重に検討されたと言われています。単なる機能性だけでなく、地域の景観に溶け込むような設計思想が反映されています。

諸元

木曽川橋梁は、1964年（昭和39年）に供用を開始しました。
その全長は995メートルに及びます。
東海道新幹線の標準軌複線に対応しており、上り線と下り線の両方が通行できる複線式の構造となっています。
橋梁が架かる具体的な区間は、愛知県一宮市東加賀野井地先から岐阜県羽島市下中町加賀野井地先にわたります。

もう一度検索