木村又蔵

木村又蔵

木村又蔵（きむら またぞう）は、戦国時代から江戸時代前期にかけての武将であり、加藤清正の家臣として知られています。加藤十六将（または二十六将）の一人に数えられています。諱は正勝。

人物像

木村又蔵は、実像よりも江戸時代以降に講談で語られる人物として有名であり、その伝承には虚構と史実が入り混じっています。相撲の達人として知られ、毛谷村六助との対戦は特に有名です。

著書として『清正記』（一部）と『木村又蔵覚書』があります。『清正記』は、『續撰清正記』が寛文4年（1664年）に著述されたことから、それ以前に成立していたと考えられます。ただし、『木村又蔵覚書』については詳細が不明です。

講談における略歴

講談によれば、木村又蔵は宇多天皇の末裔である佐々木氏の一族、近江木村氏の出身とされています。父は木村又右衛門春政で、同じく佐々木氏の流れを汲む六角承禎入道の配下の侍大将でした。

ある日、砂村大六と名乗る朝倉家臣（実際は谷熊蔵景高）が、承禎を暗殺しようとした宴席に居合わせた際、小姓であった又蔵は恐怖のあまり押し入れに隠れて震えていたため、「臆病又蔵」という不名誉な異名を与えられました。

しかし、このことを恥じた又蔵は、北向八幡神社に参拝し、八幡大菩薩の加護によって怪力を授かり、暴れ牛をも投げ飛ばすほどの無敵の武勇を誇るようになったとされています。

観音寺城の戦いで父が戦死した後、又蔵は浪人となります。その後、姉川の戦いに独断で参戦し、朝倉家の豪傑である網島瑞天坊を討ち取るという武功を挙げ、当時まだ無名であった加藤虎之助（後の加藤清正）の家来となりました。以降、飯田角兵衛、井上大九郎と共に虎之助を助け、各地を転戦しました。虎之助が170石を与えられると、又蔵はそのうち100石を貰い受けるほど厚遇されました。ちなみに、井上は秀吉よりも高い俸禄を得ていたため、虎之助よりも身分が高かったとされています。

虎之助が加藤清正となり、賤ヶ岳の戦いで七本槍の功名を挙げ、5000石を与えられると、井上と又蔵はそれぞれ1000石を貰い受けました。さらに、清正が肥後25万石の大名となると、又蔵、飯田、井上もそれぞれ1万石を与えられ大名となりました。しかし、又蔵は禄を返上して諸国を漫遊し、各地で活躍しました。各地の豪傑や忍者と戦い、しばらく後に加藤家に戻りましたが、終生清正への忠義を尽くし、豊臣家のために奔走しました。清正の遺命に従い、加藤家を出奔して大坂城に入り、大坂の陣に加わった後、肥後の国の加藤清正の墓前で割腹して自害したと伝えられています。

参考文献

* 一竜斎貞山『国立国会図書館デジタルコレクション 木村又蔵』博多成象堂〈長編[講談]]文庫 ; 第21編〉、1921年。[https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/912329/8 国立国会図書館デジタルコレクション。

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