木村愛二

木村愛二（1937年1月17日 - 2020年12月17日）は、日本のジャーナリストであり、ホロコースト見直し論者として知られています。木村書店代表、歴史見直し研究会代表も務めました。征矢野仁、徳永正樹という筆名も使用していました。

生い立ちと初期の活動

東京府で生まれた木村は、幼少期を北京で過ごし、終戦後の1946年に日本へ引き揚げました。大陸での収容所生活を経験しています。帰国後、防衛大学校に進学しますが中退し、東京大学に再入学。1960年の安保闘争では国会デモに参加し、国会南門を開ける役割を担いました。また、この際に亡くなった樺美智子と交流があったとされています。

1961年に東京大学文学部英文学科を卒業後、日本テレビに入社。編成局、広報部、調査部などに勤務する傍ら、日本テレビ労働組合で活動し、日本共産党に入党（後に離党）。1972年、労使紛争で解雇されたことを不服として会社側を提訴し、1988年に和解退職。以後、フリーランスとして活動を始めました。

ジャーナリストとしての活動

フリーランス転身後は、メディア問題、古代アフリカ史、佐川急便問題など幅広いテーマで著作を発表しました。1992年には、湾岸戦争の報道を検証した『湾岸報道に偽りあり』を出版。この中で、イスラエル建国に関わるユダヤ人の起源や、第二次世界大戦中のナチスとシオニストの協力関係、そして『アンネの日記』の信憑性など、従来の歴史観に疑問を投げかける主張を展開しました。また、ホロコースト否定論を唱えたフランスのジャーナリスト、ポール・ラッシニエを支持し、アメリカの歴史見直し研究所とも交流がありました。

西岡昌紀との出会いをきっかけに、ホロコースト見直し論に本格的に関わるようになります。1994年には『噂の真相』に「『シンドラーのリスト』が訴えたホロコースト神話への大疑惑」を寄稿。この頃から、野坂昭如らと共に情報操作研究会に参加し、ガス室問題について議論を重ねました。

1995年の『マルコポーロ』事件では、西岡の記者会見を準備し、アメリカのホロコースト見直し論者、デイヴィッド・コールを日本に招聘。その後、『アウシュヴィッツの争点』を発表し、ホロコースト再検証とマルコポーロ事件の検証を行いました。

ホロコースト見直し論と批判

木村は、ホロコーストに関する従来の歴史認識に疑問を呈し、再検証を訴えました。しかし、この立場は国内外から強い批判を受けました。週刊金曜日から名誉毀損で訴訟を起こされた際は、裁判所から「ホロコーストは世界にあまねく認められた歴史的事実」という認定を受けています。また、ドイツでは、民衆扇動罪容疑で告発されましたが、日本国籍者同士の問題として受理されませんでした。

その後の活動

1999年には、Web週刊誌「憎まれ愚痴」を創刊し、後に月刊総合誌としました。また、五カ国語訳の『資本論』の通販なども行いました。2004年には、小泉純一郎元首相を「婦女暴行の逮捕歴がある」と報道された記事が原因で提訴しましたが、請求は棄却されています。

木村愛二は、ジャーナリストとして、タブーに挑戦し、独自の見解を発信し続けた人物でした。その言動は、賛否両論を呼びましたが、議論を喚起する上で大きな役割を果たしました。

主な著書

『古代アフリカエジプト史への疑惑』
『読売新聞・日本テレビ・グループ研究』
『テレビ腐蝕検証』
『NHK腐蝕研究』
『最高裁長官殺人事件』
『湾岸報道に偽りあり : 隠された十数年来の米軍事計画に迫る』
『マスコミ大戦争/読売vsTBS』
『中曽根vs金・竹・小 : 激争 佐川疑獄と国際エネルギー利権抗争』
『国際利権を狙うPKO』
『電波メディアの神話』
『アウシュヴィッツの争点』
『読売新聞・歴史検証』
『9・11事件の真相と背景』
『イラク「戦争」は何だったのか？』
『外交官惨殺事件の真相と背景』
『アフリカ大陸史を読み直す』
『ヒトラー・ホロコースト神話検証』
『9・11/イラク戦争コード』
『社会主義に暴力と憎悪を導入した カール・マルクスの大罪　社会改革の道は労働組合が開く』

訳書

ロジェ・ガロディ著『偽イスラエル政治神話』

これらの著作を通して、木村は歴史、メディア、政治など、様々な分野における既存の権威に疑問を投げかけ、独自の視点から社会を分析しました。

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