木村朗 (保健学者)

木村朗（きむら あきら）氏は、1963年生まれの日本の保健学者であり、群馬パース大学で教鞭を執っています。専門分野は障害者身体活動学であり、特に2型糖尿病を合併した脳血管障害者のリハビリテーションにおける運動療法の効果に関する研究で知られています。

研究の概要

木村氏は、脳血管障害を発症した患者に対して、発症初期から低強度の運動を行うことで、日常生活の自立に必要な動作練習や身体活動量管理が可能になることを実証しました。また、動作が正常に行えない人のエネルギー消費量を推定する独自のアルゴリズムを開発しました。このアルゴリズムは、姿勢や運動強度などの要素を組み合わせることで、より正確な推定を可能にするもので、1994年にはコンピュータプログラムとして発表されました。さらに、IoT機器を活用した視覚代行支援のための電子機器やプログラムの開発にも携わっています。

木村氏の研究は国際的にも評価されており、長寿世界一であった沖縄地域の疫学研究で2019年にACRM（American Congress of Rehabilitation Medicine）で優秀演題賞を受賞し、2022年には米国公衆衛生学会（APHA）から国際保健学分野のNabuo Maedaグローバルヘルス奨励賞を授与されました。主な研究テーマは、「無意識や人間特性要因を組み合わせた人間の身体活動定量化研究に基づく生涯健康管理医学、臨床身体活動疫学」であり、公衆衛生、リハビリテーション、ウェルビーイングのためのエンターテイメントの活用についても研究しています。

経歴

福島県いわき市で生まれ、群馬県吾妻郡草津町で育った木村氏は、群馬県立渋川高等学校を経て、京都大学医療技術短期大学部（現：医学部人間健康科学科）理学療法学科を卒業しました。その後、琉球大学大学院保健学研究科で修士号（保健学）、金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻で博士号（保健学）を取得しました。さらに、女子栄養大学大学院栄養学研究科保健学専攻からも博士号（保健学）を授与されています（論文博士）。

理学療法士として大阪大学医学部附属病院理学療法部に5年間勤務し、その後20年間にわたり老人保健施設や特別養護老人ホームなどで非常勤理学療法士として活動しました。2001年にはSPSSJapanで統計専門家として勤務した経験も持ちます。聖隷クリストファー大学看護学部助教授、同リハビリテーション学部助教授、同大学院リハビリテーション科学研究科准教授、金城大学医療健康学部理学療法学科教授を経て、2010年4月からは群馬パース大学大学院教授として活躍しています。

その他の活動

木村氏は、公衆衛生分野における理学療法士の研究・活動を推進するため、日本公衆衛生理学療法研究会を設立しました。また、ICCEF（国際複合要因環境学会）の理事も務めています。視覚障害者の移動時の危険回避を支援するITツールの開発、内部障害を併発する身体障害者の健康管理、健康リテラシーに関する研究、超高齢者地域で暮らしてきた人々の生活習慣と血管機能の関係に関する研究など、多岐にわたる分野で活動しています。

主な研究テーマ

農作業を続けている超高齢者の動脈硬化の悪化を予防するための身体活動量水準に関する研究や、視覚障害者の身体不活動を予防するための健康行動支援機器の開発、大学生の食後血糖値の急上昇を抑えるための運動方法の開発・検証などを行っています。

著書

木村氏は、多数の著書を執筆しています。

実践身体活動学 (単著)
身体活動学入門 (単著)
標準理学療法学 運動療法学総論 (共著)
セラピストのための運動処方ガイドブック (共著)
Productive Aging. Taylor & Francis (London) (共著)
理学療法概論テキスト (共著)
closslink理学療法 地域理学療法 (共著)
closslink理学療法 運動療法学 (共著)
考える理学療法 内部障害編 評価から治療手技の選択 (共著)
理学療法教育論 (共著)

研究論文

木村氏は、100編以上の研究論文を発表しており、そのうち50編は原著論文として筆頭著者となっています。

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