木村義徳

木村 義徳について

木村義徳（きむら よしのり、1935年5月2日 - 2021年6月29日）は、東京都出身の将棋棋士です。彼は加藤治郎名誉九段の門下生で、棋士番号82を持ち、父は木村義雄十四世名人という将棋界の名門に生まれました。

経歴の概要

木村は早稲田大学第二文学部在学中の1956年にアマチュア名人や学生名人を獲得。その後、1958年にはアマチュアとして第9期九段戦予選に特別参加し、芹沢博文との対局で敗れました。大学院在学中の1959年にも第10期九段戦予選に参加し、見事な戦績を残しました。1960年に早稲田大学大学院を卒業し、翌年の1961年には四段に昇段。これにより、彼は将棋界で初めて大学院卒の棋士となりました。

1972年度の第27期順位戦では成績不振で降級点を受けましたが、翌期には復調し、1978年度の王位戦では予選を勝ち抜いてリーグ入りし、唯一の勝利を土佐浩司から得ました。その後、1978年度の昇降級リーグ戦でB級2組からB級1組に昇級し、続く期でも昇級を果たし、名人戦挑戦者決定リーグ（A級）に到達。44歳でのA級昇級は新記録となり、1980年の将棋大賞で殊勲賞を受賞しました。

その後、名人戦挑戦者決定リーグでは9戦全敗という苦しい結果に終わり、A級に再昇級することはありませんでした。木村はA級在籍経験者としては唯一、公式戦未勝利の棋士となってしまいました。また、1990年の第49期順位戦で現役を引退しました。

人物と業績

木村義徳は、父・木村義雄と同様に将棋界で名を馳せましたが、「弱がり」として知られ、自身の将棋について「弱い」と公言することでも知られています。彼は関西将棋会館の将棋博物館の館長を長く務め、将棋の歴史についての研究でも著名です。彼は将棋が6〜7世紀頃に中国から伝わったという説を提唱し、持ち駒ルールが11世紀には存在していたと主張していました。この見解については他の研究者との間で論争もありました。

また、木村は株式投資にも精通し、1955年から投資を始め、20年かけて元手を約30倍に増やしたことが知られています。彼は「米長さんには将棋で勝てないが株なら自分の方が上手」と豪語していました。また、彼は昭和30年代にチェスプレイヤーとしても活動していました。

弟子と昇段履歴

木村は女流棋士の田中沙紀を含む多くの弟子を持ちました。彼の昇段履歴は1959年に三段入りし、1961年に四段、以降も順調に昇進。1991年に引退後、2000年に引退棋士の昇段規定により九段に昇段しました。

主な成績と著書

彼の主な成績としては、1964年の東西対抗勝継戦で1回の優勝を飾りました。また、将棋大賞では1980年度の殊勲賞に選ばれました。著書には『将棋・穴熊戦法』や『株は大局観』といった作品があり、彼自身の将棋観や株式投資の理論を発表しています。

木村義徳は2021年6月29日に老衰により86歳で亡くなりました。彼の生涯は将棋界における多くの業績と共に、彼が残した数々の知識や思想として語り継がれています。

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