木村良雄

木村良雄（きむら よしお）について

木村良雄は、1911年に栃木県で生まれ、1942年に早逝した大相撲界の元行司です。彼は出羽海部屋に所属し、行司としてのキャリアは、弟子入りした師匠20代目木村庄之助（当時は6代目式守与太夫）の影響の下でスタートしました。本名は明らかにされていませんが、彼は相撲界で「式守良雄」の名義で知られています。

行司としての経歴

良雄は、1924年1月の初土俵を踏むと、同年の5月場所には「式守良夫」と改名し、着実に昇進を果たしました。1933年には三段目格に昇進し、1938年には幕下格に昇進し、名前を木村良雄に変更しました。彼は1941年1月の十両格昇進を経て、相撲界の中での地位を確立しましたが、1942年5月場所が彼にとっての最終場所となります。

辛い運命

1942年11月、良雄は横綱安藝ノ海や照國と共に中支皇軍慰問のため長崎から中国上海へ向かう途中、乗船していた船が沈没する事故に遭遇しました。この事故は、特定の原因が明らかとなっていないものの、機雷あるいは魚雷による被雷が要因とされています。良雄はたった31歳で命を落とし、相撲協会は彼の死を殉職と認定し、後日、相撲協会葬が執り行われました。

この悲しい出来事は、同じ船に乗る予定だった他の力士たちにも影響を及ぼしました。実際には、長崎巡業の天候が原因で良雄のみが先に出発することになったため、もし彼が他の力士たちと共に同じ船に乗っていたら、さらに多くの命が失われることになっていたかもしれません。出羽錦は、著書の中でこの事実に言及し、運命のいたずらを感じずにはいられない情景が描かれています。

遺産と影響

良雄は、行司としての活動を通じて多くの人々に影響を与えました。犠牲となったことで、彼の名前は相撲界の歴史に刻まれ、彼を偲ぶ声が今もなお聞かれます。相撲界には、現役中に死亡した力士が他にも存在しますが、良雄のように早逝した行司は、稀有な存在として記憶されています。このような悲劇的な運命を辿った彼の生涯は、多くの人にとって忘れ難い記憶として残ることでしょう。

参考文献

木村良雄に関する情報は、田子ノ浦忠雄による著書『土俵の砂が知っている～涙と笑い・二十五年の生活記録～』や、日本相撲協会博物館運営委員が監修した『近世日本相撲史 第2巻』などからも得ることができます。彼の人生とその背景には、多くの文献が存在し、今なお研究が続けられています。

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