木村雅昭

木村雅昭：日本の比較政治学者

木村雅昭氏は、1942年大阪市に生まれ、日本の比較政治学、とりわけインド政治において卓越した業績を残した政治学者です。京都大学を卒業後、同大学にて助手、助教授、教授を歴任し、2006年には同大学を定年退職、名誉教授の称号を得ています。その後、京都産業大学教授として教鞭を執り、世界問題研究所長も務めました。2013年に京都産業大学を退職。

教育とキャリア

木村氏の学究の歩みは輝かしいものです。1960年に大阪府立天王寺高等学校を卒業後、京都大学法学部に進学。1966年に卒業すると、同大学院法学研究科政治学専攻修士課程に進み、1968年に修了しました。その後、京都大学法学部にて助手、助教授を経て、1980年には教授に昇進。1984年には、学位論文『インド史の社会構造：カースト制度をめぐる歴史社会学』により法学博士号を取得しています。

京都大学では、法学研究科長・法学部長も務め(2001年～2003年)、2004年からは法政理論専攻政治行政分析講座を担当。多岐にわたる役職をこなしながら、教育・研究活動に尽力しました。京都大学を退職後は、京都産業大学法学部教授として後進の育成にあたり、世界問題研究所長としても活躍しました。

研究と業績

木村氏の研究は、インドの社会構造と政治システムに焦点を当て、比較政治学の枠組みの中で深く考察されています。カースト制度の歴史社会学的研究から始まり、インド現代政治の光と影、国家と文明システム、帝国・ナショナリズムといった広範なテーマを網羅しています。単著として『インド史の社会構造――カースト制度をめぐる歴史社会学』、『国家と文明システム』、『インド現代政治――その光と影』、『帝国・国家・ナショナリズム――世界史を衝き動かすもの』など多くの著作を発表し、現代社会における政治、経済、文化の複雑な相互作用を明らかにする上で重要な貢献を果たしました。

また、共編著として『現代政治を解読する』（岡本幸治氏と共著）、『フランス革命と周辺国家』（田中治男氏、鈴木董氏と共著）、『紛争地域現代史（3）南アジア』（岡本幸治氏と共著）、『国家と民族を問いなおす』（廣岡正久氏と共著）など、複数の著作を世に送り出しています。さらに、ユージン・カメンカの『マルクス主義と倫理学』の翻訳にも携わっています。

これらの著作は、インド政治のみならず、比較政治学、歴史社会学、国際関係論といった幅広い分野に影響を与え、多くの研究者や学生に啓発を与え続けています。木村雅昭氏の研究は、現代社会の諸問題を理解する上で欠かせない知見を提供し続けていると言えるでしょう。

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