木村鷹太郎

木村鷹太郎：異端の学説を唱えた明治・大正期の思想家

木村鷹太郎（1870年 - 1931年）は、明治から大正にかけて活躍した日本の歴史学者、哲学者、言語学者、思想家、翻訳家です。彼は、既存の歴史学に捉われず、独自の視点から大胆な学説を展開したことで知られています。

生涯と業績

愛媛県宇和島市出身の木村は、明治学院を経て帝国大学文科大学（現・東京大学文学部）で史学と哲学を学びました。その後、陸軍士官学校で英語教授を務める傍ら、研究活動に力を注ぎました。

1897年、井上哲次郎、湯本武比古らとともに大日本協会を組織し、機関誌『日本主義』を創刊して日本主義を唱えました。その後、バイロンやプラトンの翻訳に携わります。

1910年代に入ると、独自の歴史学説「新史学」を提唱し、日本を世界文明の起源と位置づけ、かつて日本民族が世界を支配していたと主張しました。また、邪馬台国エジプト説や仏教・キリスト教批判など、独創的な主張を展開しました。

人物像

木村は、その過激な言論と異端的な学説から、論壇において「キムタカ」と通称され、恐れられました。彼は、異論に対して徹底的に反撃・論破する姿勢を貫き、多くの論争を巻き起こしました。

しかし、その一方で、与謝野鉄幹・晶子夫妻の媒酌人を務めるなど、親交のあった人物もいました。東洋大学創立者の井上円了とは親友でした。

著作と翻訳

木村は、数多くの著作と翻訳を残しました。代表的な著作には、『世界的研究に基づける日本太古史』があり、翻訳には『プラトン全集』などがあります。

著書（一部）

『万国史』(1897)
『日本主義国教論』(1898)
『世界的研究に基づける日本太古史』(1911)
『統合世界史』(1914)
『日本書紀仁徳帝の埃及難波』(1915)

翻訳（一部）

『ソクラテース人物養成譚』(1901) キセノフォーン
『パリシナ 艶美の悲劇詩』(1903) バイロン
『プラトーン全集』(1903-1911)

評価と影響

木村の研究は、存命中から異端学説と見なされることが多く、正当な評価を得ることは難しい状況でした。

しかし、近年、彼の独創的な視点や大胆な発想が再評価されるようになり、彼の著作や思想に関心が集まっています。

墓所

[青山霊園]に眠っています。

木村鷹太郎は、その異端性ゆえに、毀誉褒貶が激しい人物ですが、既存の枠にとらわれず、独自の思想を追求した先駆者として、記憶されるべき存在です。

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