木綿のハンカチーフ

木綿のハンカチーフ

「木綿のハンカチーフ」は、1975年12月21日にCBS・ソニーから発売された太田裕美の4枚目のシングルです。この楽曲は松本隆が作詞、筒美京平が作曲を担当し、次第に日本の歌謡曲の中でも特異な位置を占めることになりました。

この曲は、アルバム『心が風邪をひいた日』の冒頭を飾る曲として制作され、レコード会社に気に入られたことでシングルリリースが決定しました。シングル版は新たに録音し直され、一部の歌詞が変更されています。松本の要請に応じて、アルバムバージョンとシングルバージョンのアレンジも異なる点が特徴です。シングル盤にはマトリクス番号の異なる2種類が存在し、特にSOLB-352A2は音のミックスが異なっています。

この楽曲は松本隆の作詞家としての転機となり、太田裕美にとっても大きなヒット曲として評価されています。以降、松本と筒美のコンビによる楽曲は続くこととなり、従来のアイドル歌謡とは一線を画した作品として認識されました。

歌詞は男女の対話形式のストーリー仕立てで、男性が故郷を離れ東京での生活を送り、女性との遠距離恋愛が徐々に破綻していく様子が描かれています。1番では旅立ちを迎えた男性が描かれ、2番では故郷を訪れなくなった彼が指輪を贈るシーンがあり、3番では背広姿の写真を手紙とともに贈り、4番では都会で浮かれる男性が女性を捨てる様子が描かれます。このように、歌詞の内容が時間経過に伴って変化していくことで、より深い感動を与えます。

また、楽曲の完成までには苦難があり、ボブ・ディランの楽曲との類似性が指摘されることもありました。しかし松本はその影響を認めつつも、尊敬の念を持ちながら自身の作品に仕上げました。その結果、この曲は松本の代表作の一つとなるとともに、多くのアーティストによってカバーされています。

リリース当初における売上はオリコンの統計において86.7万枚を記録し、ミュージック・リサーチ社においては150万枚以上の販売を達成しましたが、他のヒット曲と比較して最高2位にとどまりました。それでも「木綿のハンカチーフ」は太田裕美の最大のヒット曲として、今なお多くの人々に親しまれています。

この楽曲は、単なる恋愛の歌という枠を超え、聴く人々に様々な感情を引き起こす力を持っています。そしてまた、その歌詞の中に込められた切ない物語が、時を経ても色褪せることのない魅力となっています。

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