ヒット曲

ヒット曲とは

ヒット曲とは、ポピュラー音楽の中で特に人気を得て、広く流行した楽曲のことを指します。これにはレコードやCDの売上、音楽配信、そしてストリーミングなどのヒットチャートで一定の実績を上げた楽曲が含まれます。ただし、「ヒット」と見なされるための具体的な基準は明確ではありません。何位以内に入ればヒットとされるのか、または売上枚数がどのくらいであれば良いのかは様々な要因に依存するため、音楽業界における流動的な概念でもあります。

日本における初期のヒット曲

日本でのヒット曲の初期例は、1914年に松井須磨子が劇団芸術座の公演『復活』で歌唱した「カチューシャの唄」とされています。この楽曲は従来の日本の音楽スタイルから離れた新しい流行歌として認識され、日本でのヒット曲の先駆けと考えられています。その後、1927年に日本ビクターが設立され、1928年に商業レコードが発売されると、佐藤千夜子が歌った「波浮の港」や「東京行進曲」などが大きな成功を収め、日本初期のヒット歌手として名を馳せました。

CD売上・音楽配信でのヒット基準

日本の音楽市場では、1989年以降、日本レコード協会が出荷枚数に基づいてゴールドディスク認定を行っています。最初の数年は20万枚の出荷が求められていましたが、音楽市場の変化により、現在は10万枚に引き下げられました。そして、100万枚以上の売上を記録したシングルは「ミリオンセラー」と呼ばれ、長年にわたりヒットの象徴とされてきました。

しかし、2000年代に入ると、着うたやダウンロード販売、YouTubeといった新しい音楽体験が多数登場し、CD売上だけがヒットの基準となることは難しくなりました。そのため、日本レコード協会は2006年から有料音楽配信に対応した認定制度を設けています。2008年にはアメリカのビルボードも日本市場に参入し、CDセールスやダウンロード、ラジオプレイを統合的に評価するチャートを導入しました。

ストリーミング時代のヒット基準

近年では、ストリーミングサービスの普及が音楽業界に影響を与えています。2015年にApple Music、2016年にはSpotifyが日本に上陸し、定額制のストリーミングサービスが急速に広がっていきました。これに伴い、あいみょんなど、ストリーミングを通じて浸透したアーティストが増えてきています。

音楽ジャーナリスト柴那典によれば、2020年ごろにはヒット曲がCDからストリーミングサービスに移行し、従来の100万枚の売上よりも再生回数「1億回」がヒットの新たな基準として認知されるようになったとされています。

海外のヒット基準

アメリカ合衆国においては、Billboard Hot 100の上位40位以内にランクインすることがヒットと見なされます。イギリスではオフィシャル・チャート・カンパニーが集計する全英シングルチャートで上位75位にランクインすることがヒット基準とされています。

ヒット曲はその時代ごとの基準や評価方法が変わり続ける中で、常に音楽シーンのトレンドを反映する重要な存在です。

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