木谷明

木谷 明（きたに あきら）

木谷明は1937年12月15日に神奈川県平塚市で生まれた日本の弁護士であり、元裁判官です。彼は、囲碁棋士の木谷實九段の次男であり、女流棋士の小林禮子やアナウンサーの吉田智子を妹に持つという著名な家庭に育ちました。彼は神奈川県立平塚江南高等学校を卒業後、東京大学法学部に進学し、その間に司法試験に合格しました。1961年に大学を卒業し、翌年には司法研修所に入所、さらに1963年には東京地方裁判所に判事補として任官されました。

経歴と業績

木谷は、最高裁事務総局刑事局付や最高裁判所調査官、水戸家庭裁判所所長など、様々な役職を経て、2000年5月に東京高等裁判所部総括判事として依願退官しました。その後、霞ヶ関公証役場で公証人を務め、2004年から2012年まで法政大学法科大学院の教授として活躍しました。退官後の2012年からは弁護士として活動しており、また2008年には瑞宝重光章を受章して、その業績が広く認められています。

日本の刑事裁判では有罪判決が圧倒的に多い中、木谷は特に無罪判決を書くことに意欲的だったことで知られています。彼は現役中に30件以上の無罪判決を確定させ、そのことから彼の名声が広まりました。木谷は、現状の日本の裁判システムについて批判的で、ほとんどの裁判官が検察の意向に沿った動きをしていることを懸念しています。自身の経験を踏まえ、無罪判決を書くには高度な技術が必要であり、それを行う裁判官が減っているのは悲しい現実だと語っています。この発言から、彼が裁判の公正さを強く重視していることが伺えます。

一方で、木谷自身もその裁判において冤罪の判決を下したという批判が寄せられることもあり、特に日野町事件に関する意見は議論を呼ぶことがあります。しかし、彼の活動や著作は多くの人々に影響を与えています。

裁判の担当

木谷は最高裁判所調査官として多くの重要な裁判にも関与しており、その結果は判例百選にも掲載されました。例えば、わいせつ概念の再構築に関する「四畳半襖の下張り」事件、自動車の一時使用に関する事件、そして道交法による集団行進の規制に関する判決など、彼の見解は日本の法律の発展に寄与しました。

主著と影響

彼の著作には、法律や裁判制度に関する深い考察が含まれており、『刑事裁判の心―事実認定適正化の方策』や『無罪を見抜く―裁判官・木谷明の生き方』といった書籍がその素晴らしい知見を示しています。その著書は映画『それでもボクはやってない』においても参考にされ、彼の姿勢が広く知られるきっかけとなりました。

メディアへの登場

また、木谷に関するドキュメンタリーも製作されており、『こころの時代』という番組では、彼の考えや経験が取り上げられています。彼の人生や思想は、今後の刑事司法に対する重要な示唆と影響を与えつづけることでしょう。

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