未完成 (山崎まさよしの曲)

山崎まさよしが日本の音楽シーンに送り出した、通算15作目となるシングル盤が「未完成」（みかんせい）である。この作品は2003年5月21日に、ユニバーサルミュージックより発売された。

本シングルは、リリースにあたり二種類の形態で提供された。一つは特典としてDVDを同梱した初回限定盤、もう一つはCD単体となる通常盤である。これら二つのバージョンでは、それぞれジャケット写真のデザインが異なっており、コレクターズアイテムとしての側面も持っていた。

CDに収録された内容は、表題曲である「未完成」を中心に構成されている。加えて、カップリング楽曲として「Security」と、短いインストゥルメンタルナンバー「mud skiffle track XI」が収められている。さらに、表題曲の歌唱パートを除いた「未完成（original karaoke）」バージョンも収録され、リスナーが楽曲の構造を深く味わえるようになっている。各楽曲の収録時間は、「未完成」が4分55秒、「Security」が5分4秒、「mud skiffle track XI」が1分49秒である。

表題曲「未完成」は、山崎まさよしが作詞、作曲、そして編曲の全てを手がけた、彼自身の音楽性が色濃く反映された楽曲である。この曲の制作において特に注目すべき点は、レコーディングにおける全ての演奏パートおよびコーラスワークを、山崎まさよし本人が一人で担当していることだ。とりわけコーラスパートでは、彼の声が幾層にも重ねられる多重録音の技術が駆使されており、独りでありながらも重厚かつ独創的な響きを生み出している。この一人の手によって作り上げられたサウンドプロダクションは、楽曲の世界観に深みを与えていると言えるだろう。

カップリング曲の「Security」と「mud skiffle track XI」は、いずれも山崎まさよし後年の活動をまとめたベストアルバム『OUT OF THE BLUE』に再録されている。

「未完成」のために制作されたミュージックビデオ（MV）もまた、視覚的なインパクトを持つ作品として知られている。映像の中で、山崎まさよしはフォーマルなスーツ姿で登場するが、その中に唐突に、そして印象的にペンギンの置物を抱えているシーンが差し込まれる。このペンギンの存在について、山崎まさよし自身も当初はなぜそれが映像に必要なのか理解に苦しんだという逸話がある。しかし、結果的にその脈絡のない、ある種の不条合いが映像全体のシュールさを高め、面白い効果を生むと判断され、そのまま採用されるに至ったという（これは当時の彼のインタビューで語られた内容である）。このユニークなMVは、2003年9月17日にリリースされた彼のミュージッククリップ集『山崎 動く動く』に収録されており、現在この映像集を通して視聴することが可能となっている。

初回限定盤に付属した特典DVDは、前作のシングルに続いて制作されたものだが、MVとは異なるコンテンツである。このDVDには「オフライン」というメニュー名が付けられており、その中には「未完成」「アトリエ」「BLUE PERIOD」といったタイトルの映像作品が収められている。これらの映像は、特典DVD独自に企画された、シュールな雰囲気を持つコント仕立ての内容となっている。前述のMVがクリップ集に収録されているのに対し、この初回盤DVDの映像は、文字通りこの限定盤でしか楽しめない特別な内容であった。

表題曲「未完成」は、このシングル盤以外にも、山崎まさよしのキャリアを代表する作品として複数のアルバムに収録されている。具体的には、2003年に発表された彼の6枚目のオリジナルアルバム『アトリエ』や、彼の代表曲をまとめたベストアルバム『BLUE PERIOD』に収められている。これにより、「未完成」はシングルのヒットにとどまらず、アルバムを通して広く聴かれる楽曲となった。

最後に、このシングル「未完成」の制作及び販売には、山崎まさよしが所属する芸能事務所であるオフィスオーガスタが深く関与していることが挙げられる。

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