未完成建築

未完成建築について

未完成建築（みかんせいけんちく）とは、建設が行われているものの完了に至っていない建物や、そのように設計された構造物を指します。これには、計画が長引いているものや、建設作業が大幅に遅れているものが含まれます。こうした未完成の状態にある建築物は、世界中に点在しており、その背景にはさまざまな理由が存在します。

未完成建築の種類

未完成建築には多様な形態があります。中には、外装だけが完成しているものや、建物内部が未完成のままとなっているものもあります。例えば、北朝鮮の柳京ホテルは、完成すれば高さが世界で2番目になる予定でしたが、実際には居住不可能な状況に留まっています。このように、建設作業における遅延や予期せぬ問題が、未完成状態を引き起こす要因となることが多いです。

また、意図的に未完成の状態が維持されている建築物も存在します。特に歴史的な観点から見ると、フォリーと呼ばれる18世紀の建築物は、意図的に未完成の外観を持たせることで景観の一部として機能していました。

有名な未完成建築

その中でも、最も広く知られている未完成建築の一つが、アントニ・ガウディが手がけたサグラダ・ファミリアです。このバルセロナの聖堂は1880年代から建設が始まり、2020年代での完成が見込まれています。スペイン内戦によって施工が中断され、その後も様々な困難を乗り越えながら建設が続いています。それにも関わらず、今日では年間150万人以上の観光客を集めるバルセロナのシンボルとなっています。

他にも、長い年月をかけて建設されたケルン大聖堂は、1248年に工事が始まり、1880年までに完成しました。これらの建築物は、建設過程における歴史的背景や設計者の意図など、文化や時代を反映した作品と見ることができます。

未完成の建物の例

未完成の状態で留まっている建物にはさまざまなものがあります。たとえば、ビューマリス城（イギリス）、シエナ大聖堂（イタリア）、ウィンチェスター・ミステリー・ハウス（アメリカ）などがあり、これらは資金不足や設計の変更によって完成に至らなかったものです。

特に日本では、お化けマンションや木の岡レイクサイドビルといった完全に放棄された建物が存在し、視覚的な問題や地域の風土に影響を与えています。

未完成の計画

建設が始まることなく、計画段階で止まってしまった建築物も多く存在します。ルートヴィヒ2世が設計したファルケンシュタイン城のように、数回の設計変更を経て遂に建設が開始されることなく終わってしまった例もあります。これらの計画は、それ自体が歴史的な価値を持つことから、後世に大きな影響を与えています。

近年の発展

現代においては、コンピュータ技術の進化により、実際の建設が行われることなく、建物のプロトタイプをデジタル上で視覚化することが可能になっています。これにより設計プロセスが効率的に進行し、実際の建設に先駆けて問題点を明らかにする手助けとなっています。

結論

未完成建築は、単なる建物の欠落状態ではなく、そこには文化的背景や歴史的コンテキストが詰まっています。未完成状態の建築物や計画は、しばしば周囲の景観に溶け込み、観光名所となることもあります。未来の完成を期待して待たれる建物もあれば、かつての設計の美を残し続けるものもあります。

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