柳京ホテル

柳京ホテルについて

柳京ホテル（リュギョンホテル）は、北朝鮮の首都平壌に建設された特異なピラミッド型の超高層ビルです。このホテルは、105階建てで、高さは330メートルに達し、当初は世界一の高さを誇るホテルとして設計されました。しかし、その壮大な計画は当初からの資金不足や技術的な問題に直面し、長年にわたって未完成の状態が続いています。

建設の背景と沿革

柳京ホテルの建設は1987年に始まりました。このプロジェクトは1988年に予定されていたソウルオリンピックに対抗し、北朝鮮が自国の威信を示すための一環として企画されました。設計と建設は、白頭山建設研究院によって行われました。ホテル名は、平壌の古名「柳京」に由来しています。

当初は1990年代初頭の第13回世界青年学生祭典に間に合わせる意図がありましたが、腕の大きさから工事が遅れ、ホテルは完成しませんでした。代わりに、急遽他のホテルが設置され、柳京ホテルの建設は中断されました。その後、建設資金の不足や電力不足、国全体に広がった飢饉等がこのプロジェクトの中断要因とされています。

近年まで、柳京ホテルは「世界で最も高い空きビル」としてギネスに記録され、国際的には「幽霊ホテル」や「滅びのホテル」として知られていました。アメリカの雑誌『Esquire』は、2008年にこのホテルを「人類史上最悪の建物」と評しました。

建設再開とその後

建設は2008年に再開されました。この時期、エジプトの企業が関与し、約1億8000万ドルの投資がなされたと報じられています。再開時は、2012年の金日成生誕100周年までの完成が目指されましたが、その目標も達成されませんでした。

2012年には、柳京ホテル内部の視察が行われ、完成間近との情報もありましたが、多くは未完成であることが判明しました。ホテルのサービス提供を担う予定だったケンピンスキーグループも、途中から撤退の決定を下しました。

柳京ホテルの国際的評価と現況

長期にわたる工事停止や開発の不透明さの中で、柳京ホテルはメディアから高い関心を持たれています。2017年には、正面に看板が設置され、周囲の塀も撤去され、時折イベントが行われることもありました。しかしながら、実際の開業は未だ実現していません。

外観は独特の三角形で、安定性を重視した設計がなされていますが、工事が進むにつれてその基礎の不良やクラックの問題が取り沙汰されるようになりました。現状、内部のエレベーターは利用できない状態であり、開業の目処は立っていないのが現実です。

結論

柳京ホテルは、北朝鮮の雄大な建築を象徴する存在でありながら、未完成のまま放置された不気味な廃墟とも言えます。観光名所としてもその姿は独特で、興味深い存在であり続けていますが、その未来には多くの課題が待ち受けています。国際的な注目を集める一方で、実際の利用や開業がいつになるのかは不透明なままとなっています。

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