未決勾留

未決勾留の概要とその意義

未決勾留（みけつこうりゅう）は、日本の法制度において、犯罪の容疑がある者が逮捕され、判決が確定するまで刑事施設に留め置かれる状態を指します。この状態は、確定した判決を待つ間、被告人がその身柄を法的に拘束されていることを意味し、英語では「pretrial detention」と訳されます。日本語では時に「未決拘留」と表記されることもありますが、これは誤記として扱われています。

拘留期間と刑期への算入

刑事裁判において、裁判所は被告に対して判決を下す際、未決勾留の期間を考慮することができます。具体的には、刑法第21条に基づき、勾留が開始された日から判決言渡しの前日までの拘留日数を、その刑期に加算することが許されています。特に、通常の審理に必要な期間を超えた未決勾留日数が懲役刑等に算入されることが一般的です。

判決の際に未決勾留日数を刑に算入する場合、裁判所は具体的な日数を示して言い渡します。たとえば、「被告人を懲役○年に処する。ただし、未決勾留日数中○○日をその刑に算入する。」などといった形です。尚、未決勾留日数を金額に換算し、罰金刑に充当することも可能ですが、実際に行われるケースは多くありません。

未決勾留と罰金刑

罰金刑に関する実務では、被告人が経済的な余裕がないと判断された場合に、未決勾留の日数を金銭に換算し、その金額を罰金に算入する手続きが行われることがあります。例えば「被告人を罰金10万円に処する。未決勾留日数のうち1日を5,000円に換算し、その罰金に充当する」という判決が考えられます。このようなケースでは、被告の状況に配慮した裁定がなされます。

無期刑における未決勾留日数の算入

無期刑に関しても、未決勾留の期間を考慮することが認められていますが、無期刑は終身刑であるため、拘留期間の算入は特に恩赦や減刑の文脈でしか意味を持っていません。多くの裁判例で、無期刑に対する未決勾留日数の適用が見られますが、これは実務上の特例として扱われることが多いです。

併合罪と未決勾留の関係

最高裁判例によれば、複数の罪を併合して処罰される場合、未決勾留日数を別の罪の主刑に加算することも認められています。具体的には、ある罪で未決勾留されている被告人が、別の罪によっても処罰を受ける場合、未決勾留日数を罰金に換算し、別罪に適用することが許可されるものです。

まとめ

未決勾留は日本の刑事手続において非常に重要な役割を果たしています。被告人の権利を守る一方で、司法の効率性と公正性を考慮した制度設計がなされています。また、判決における未決勾留日数の扱いは、法制度の実務にも多大な影響を与える要素となっています。

もう一度検索