末主 (西夏)

末主（まっしゅ）：西夏王朝の終焉と最後の皇帝

末主（生年不詳 - 1227年）は、西夏の第10代にして最後の皇帝であり、歴史上では末帝とも称されます。彼の諱は睍（けん）です。神宗の孫として生まれ、父は清平郡王、自身も南平郡王の地位にありました。

激動の時代、帝位を継承

乾定4年（1226年）、叔父にあたる献宗の病死を受け、末主は皇帝の座に就きます。しかし、その治世は、チンギス・カン自らが率いるモンゴル帝国軍の容赦ない侵攻という、まさに国家存亡の危機に直面する中で始まりました。西夏は滅亡寸前の状況に追い込まれていましたが、末主はモンゴルへの降伏を断固として拒否しました。

抗戦と抵抗、そして滅亡への道

右丞相の高良恵をはじめとする西夏の将兵たちは、モンゴルに対する抵抗運動を積極的に展開しました。しかし、その努力も限定的な効果しか上げられませんでした。さらに、この時期には、国都である中興府を大地震が襲い、壊滅的な被害をもたらします。地震の影響で疫病が蔓延し、食料も不足するという三重苦に見舞われ、軍民の半数以上が死傷する事態となりました。このような状況下で、末主は西夏の滅亡はもはや避けられないと判断し、宝義2年（1227年）にモンゴル軍に投降することを決意。これにより、西夏はついに滅亡の時を迎えます。

悲劇的な最期

しかし、西夏の滅亡は、末主と西夏の人々にとって、さらなる悲劇の始まりに過ぎませんでした。間もなくチンギス・カンが死去すると、後顧の憂いを断つため、オゴデイは李睍をはじめとする多くの西夏の民衆を虐殺しました。この虐殺によって、西夏は完全に歴史から姿を消すこととなったのです。

末主の生涯は、モンゴル帝国の侵略という時代の荒波に翻弄され、国家の滅亡という悲劇的な結末を迎えた、西夏最後の皇帝の苦悩と抵抗の物語として、後世に語り継がれています。

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