末松玄六

末松玄六

末松玄六（すえまつ げんろく、1910年12月25日 - 1993年8月30日）は、日本の著名な経営学者です。中小企業の研究において先駆的な役割を果たし、特に中小企業の適正規模に関する理論を深く掘り下げました。名古屋大学の名誉教授として、後進の育成にも尽力しました。

生涯

岐阜県に生まれた末松玄六は、東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業後、上田貞次郎に師事しました。1961年には、「中小企業の成長に関する経営経済学的研究」で名古屋大学から経済学博士の学位を取得。教育者としては、彦根高等商業学校や山口高等商業学校で教鞭を執り、その後、名古屋経済専門学校を経て名古屋大学経済学部の助教授、教授を歴任しました。1974年に名古屋大学を定年退官し、名誉教授の称号を授与されました。退官後は、愛知大学法経学部教授として教鞭を執り、後進の指導に当たりました。

学術的貢献

末松玄六は、中小企業の成長、経営戦略、組織運営に関する多くの著作を発表しました。特に『中小企業成長論』は、中小企業研究における重要な文献として高く評価され、1962年に日経・経済図書文化賞を受賞しました。また、1980年から1986年まで日本中小企業学会の初代副会長を務め、中小企業研究の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、理論的な枠組みの構築だけでなく、実践的な経営指導にも影響を与えました。

著書

末松玄六は、中小企業に関する多様なテーマを扱い、多数の著書を発表しました。以下に主な著書を挙げます。

『最適工業経営論』（1943年）
『中小工業と経営合理化』（1949年）
『中小企業失敗の原因と経営対策』（1951年）
『中小企業の合理的経営 失敗原因とその克服』（1952年）
『中小企業経営論』（1956年）
『中小企業の経営学』（1959年）
『中小企業の体質改善』（1960年）
『中小企業成長論 中小企業の成長に関する経営経済学的研究』（1961年）
『会社の成長危険 繁栄と倒産の分岐点』（1964年）
『独立企業論』（1967年）
『問題解決の経営』（1970年）
『中小企業の経営戦略』（1972年）
『危険克服の経営 低成長下を生き抜く法則』（1977年）
『経営活力診断』（1982年）

これらの著作は、中小企業の経営者や研究者にとって貴重な資料であり、今日の企業経営にも多くの示唆を与えています。

指導した主な学生

末松玄六は、多くの優れた人材を育成しました。主な教え子には、小川英次（名古屋大学名誉教授）、種村均（元ノリタケカンパニーリミテド社長）、伊貝武臣（元スタジオアリス副会長）などがいます。また、甥には末松安晴（元東京工業大学学長）がいます。

業績

末松玄六の業績は、中小企業研究の基礎を築いただけでなく、中小企業の現場における経営改善にも大きく貢献しました。彼の研究は、中小企業が直面する課題を明らかにし、その解決策を示すことで、日本経済の発展を支える重要な役割を果たしました。その功績は、今日においても高く評価されています。

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