小川英次

生涯

小川英次（おがわえいじ）は、1931年 1月10日に名古屋市で生まれ、2019年 7月4日に88歳で逝去した、日本の著名な経営学者です。生産管理論と中小企業経営論を専門とし、教育者、研究者、そして経営者として多岐にわたる分野で活躍しました。名古屋大学名誉教授、学校法人梅村学園名誉理事長、中京大学学長などの要職を歴任し、その卓越した知識とリーダーシップによって、日本の学術界と産業界に多大な貢献をしました。

学歴と職歴

1953年に旧制名古屋大学工学部機械学科を卒業後、1955年に名古屋大学経済学部経営学科を卒業。1960年には名古屋大学大学院経済学研究科経営学専攻博士課程を単位取得満期退学しました。1964年には、「生産計画論」に関する研究で名古屋大学より経済学博士の学位を取得しています。指導教授は末松玄六でした。

1960年に名古屋大学経済学部の助手としてキャリアをスタートさせ、1962年には生産管理論の専任講師に就任。その後、助教授（1964年）、教授（1976年）へと昇進しました。名古屋大学では、経済学部長や大学院経済学研究科長、附属経済構造研究センター長などを歴任し、大学運営にも大きく貢献しました。また、1992年から1995年まで日本中小企業学会会長を務めるなど、学会活動にも積極的に参加しました。

1994年に名古屋大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、中京大学に移り、経営学部教授、大学院経営学研究科長、そして2000年から2008年まで学長を務めました。大学退職後も、学校法人梅村学園の顧問や理事長を歴任し、教育機関の発展に尽力しました。

社会的貢献

小川英次は、学術界だけでなく、社会貢献にも熱心でした。日本能率協会の理事を務めたほか、愛知県大規模小売店舗審議会会長、豊田市産業振興委員会会長、豊田市市政顧問会議会長など、様々な公職を歴任し、地域社会の発展に貢献しました。

受賞と栄誉

長年の研究と教育活動、そして社会貢献が評価され、数々の賞を受賞しました。1967年には著書『生産計画論』で日経・経済図書文化賞を受賞、2010年には瑞宝重光章、2015年には豊田市市政功労章を受章しています。

研究業績と著書

小川英次の専門は、生産管理論と中小企業経営論でした。特に、生産計画、生産管理、中小企業経営に関する研究で多くの業績を残しました。また、数多くの著書や共著を通じて、研究成果を広く社会に発信しました。主な著書には、『生産計画論』、『現代生産管理論』、『プロダクションマネジメント多品種少量生産時代への対応』、『現代の中小企業経営』などがあります。これらの著書は、当時の生産管理や中小企業経営に関する重要な文献として、現在でも多くの研究者や実務家に参照されています。

人物像

小川英次は、研究者としての卓越した能力だけでなく、教育者としても学生から厚い信頼を得ていました。指導した学生の中には、三矢誠元アイシン精機副社長など、産業界で活躍する人材も多く輩出しました。温厚で誠実な人柄で、多くの人々に慕われました。

死去とその後

2019年 7月4日、老衰のため88歳で逝去。その功績を称え、死没日をもって正四位に叙されました。小川英次の業績は、日本の経営学の発展に大きく貢献し、その功績は後世に語り継がれるでしょう。

主な著書

『生産計画論』(1967年, 河出書房新社)
『現代生産管理論』(1971年, 金原出版)
『プロダクションマネジメント多品種少量生産時代への対応』(1973年, ダイヤモンド社)
『現代の生産管理』(1982年, 日本経済新聞社)
『中小企業・成功のセオリー時代を先取りするチェンジ・エージェントとは何か』(1983年, PHP研究所)
『FAの経済学』(1984年, 日刊工業新聞社)
『現代の中小企業経営』(1991年, 日本経済新聞社)
『新起業マネジメント技術と組織の経営学』(1996年, 中央経済社)
『現代経営論中小企業経営の視点を探る』(2009年, 中央経済社)

共編著

『生産管理入門』岩田憲明共著 (1982年同文館出版)
『経営学の基礎知識補習と復習のために』北野利信、後藤幸男、高柳暁、村田昭治共編 (1973年有斐閣)
『国際貿易と経済摩擦日本と西ドイツの比較研究』藤瀬浩司、真継隆、Th.ダムス共編 (1984年名古屋大学出版会)
『最新経営学基礎講座 6 生産管理』編著 (1985年中央経済社)
『日本企業の国際化資本・経営・技術移転』岸田民樹,木下宗七共編 (1987年名古屋大学出版会)
『先端技術と中小企業』滝沢菊太郎共編 (1988年有斐閣)
『アジアの日系企業と技術移転』牧戸孝郎共編 (1990年名古屋大学出版会)
『技術革新のマネジメント』編著 (1991年中央経済社)
『トヨタ生産方式の研究』編 (1994年日本経済新聞社)

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