本因坊秀元

本因坊 秀元（ほんいんぼう しゅうげん）は、1854年に生まれ、1917年に亡くなった囲碁の名棋士です。彼は囲碁界において16世・20世本因坊として名を馳せ、六段の実力を持っていました。本名は土屋百三郎で、父は本因坊秀和です。秀元は、囲碁における先代の後を継いだことや、囲碁界においてさまざまな影響を与えた人物でした。彼の法名は日存です。

秀元の経歴は、囲碁界の激動を物語るものでした。彼の兄である15世本因坊秀悦が明治維新後の困難により病気に悩まされていたことから、兄の後を継ぐことが期待されていました。しかし、次男の秀栄と共に当時一流の実力者であった村瀬秀甫を迎えようとした試みが挫折し、最終的には秀元が本因坊を継ぐこととなります。その際、彼はまだ三段の若手棋士であり、当時の本因坊家の中でも低段位のリーダーとして不安視される一面がありました。

同年の4月、秀元は方円社の設立に参加しましたが、その後この団体の方針に反発し、秀栄や安井算英と共に脱退しました。その結果、彼は本因坊門下に所属していた方円社員から段位を剥奪されました。方円社はその後発展を遂げましたが、秀元は焦りを感じ、最終的には当主の地位を弟の秀栄に譲り、17世本因坊秀栄が誕生しました。

秀栄は八段に昇進し、名人としても成功を収めたため、本因坊家の影響力は増しました。対照的に、秀元は一時的に酒を楽しむ生活を送り、「酒仙」と称されるようになります。この時期、秀栄の四象会に参加し、四段であったものの、秀栄からはその実力を高く評価されていました。

1907年、秀栄が他界すると、後継者問題が持ち上がりました。秀元は一度は20世本因坊を継いだものの、すぐに田村保寿にその地位を譲り、彼自身は21世本因坊秀哉となりました。この際、彼は一日に限り六段の肩書きを持つことを許可されました。引退後は土屋秀元として知られ、1917年に死去します。

秀元はその実力により囲碁界で高い評価を受けていました。特に秀栄からはその技術を「古今稀に見る非常に器用な碁」と称賛されています。また、彼は1907年から翌年にかけて多くの対局を行い、七人抜きという偉業を達成しました。さらに、秀哉との対局も多く、棋士としての業績を残しています。

彼に関連する逸話として、八百長の語源とされる八百屋の長兵衛との対局があります。秀元は回向院近くの碁会所で長兵衛と戦い、互角の戦いを繰り広げたことで、その実力を示しました。秀元の人生は囲碁界における一つの歴史的な物語であり、彼の影響は今なお感じられます。

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