本多実方

本多実方：警察官僚から貴族院議員へ至る波瀾万丈の生涯

本多実方は、明治から大正時代を生きた稀有な人物です。警察官僚としてのキャリアを積み重ねながら、華族としての地位と貴族院議員としての政治活動に携わり、激動の時代を生き抜きました。その生涯は、日本の近代化を彩る重要な一端を担っています。

1862年、飯山藩主・本多助実の十四男として江戸に生まれた実方は、幼名禄之助。兄の死去に伴い、1873年には家督を相続することとなります。その後、1884年には子爵に叙爵され、華族としての道を歩み始めます。

しかし、実方の経歴は華族としての地位に留まりません。同年に警視庁御用掛に就任し、警察官僚としての道を歩み始めるのです。警視庁での勤務経験は、彼の後の人生に大きな影響を与えたと考えられます。警察組織における実務経験は、政治家としての活動にも役立ったことは容易に想像できます。

1891年には、貴族院子爵議員補欠選挙に当選。貴族院議員としての活動は1897年まで続きます。その後、1911年には再び貴族院議員に選出され、研究会に所属して政治活動に尽力しました。この二度目の議員在任は、彼の死去まで続くことになります。貴族院における活動を通して、彼は日本の政治に貢献したのです。

妻は河田景与の娘である本多延枝。長男には子爵位を継承した本多助信がいます。家族との関係性も、実方の生涯を語る上で欠かせない要素です。

本多実方の生涯は、華族、警察官僚、政治家という複数の顔を持つ、まさに時代の寵児と言えるでしょう。警視庁での経験、貴族院議員としての政治活動、そして華族としての立場。これらの要素が複雑に絡み合い、彼の生涯を彩っています。様々な資料から、その生涯を詳細に紐解くことで、明治・大正時代の社会構造や政治情勢の一端を垣間見ることができるでしょう。

彼の活動を知る上で重要なのは、彼が所属した研究会についても考察することです。研究会は、当時貴族院において一定の勢力を持っていたと考えられ、実方の政治活動に大きな影響を与えていた可能性があります。さらに、彼が警察官僚としての経験をどのように政治活動に活かしていたのか、その点も今後の研究課題となるでしょう。

本多実方の生涯を詳細に調査するには、以下の文献が役立つと考えられます。

人事興信所編『人事興信録 第6版』（人事興信所、1921年）
『貴族院要覧（丙）』（昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年）
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』（大蔵省印刷局、1990年）
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 下巻』（霞会館、1996年）
* 杉謙二編『華族畫報 下』（吉川弘文館、2011年）（華族画報社大正2年刊の複製）

これらの文献を精査することで、より深く本多実方の生涯と業績を理解することができるでしょう。そして、その理解を通じて、明治・大正時代の日本社会への理解も深まるはずです。

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