本多重益

本多重益：暗愚とされた丸岡藩主の生涯

本多重益（ほんだ しげます）は、江戸時代前期、越前丸岡藩の第4代藩主として生きました。彼がどのような人生を歩んだのか、その詳細を紐解いていきましょう。

生い立ちと藩主就任

寛文3年（1663年）、第3代藩主であった本多重昭の長男として誕生しました。延宝4年（1676年）に父が亡くなったため、家督を継ぎ、丸岡藩の藩主となります。翌年の延宝5年（1677年）には、従五位下・飛騨守に叙任されました。

暗愚な藩主としての側面

重益は信仰心が篤い人物であったと伝えられていますが、藩主としての手腕は決して褒められたものではありませんでした。藩政を家臣に任せきりにして、自身は酒色に溺れる日々を送ったとされています。このため、家臣団内部では藩政の実権を巡る争いが勃発しました。

家臣団の対立と改易

重益に実子がいなかったことも、事態を悪化させる要因となりました。太田又八は、重益を隠居させ、弟の重信（早世）を擁立しようと画策します。その後、重修に白羽の矢が立ちます。一方、本多織部は、暗愚な重益を傀儡として利用し、自らが藩政の実権を握ろうとしました。このように、家臣団は大きく二つの派閥に分かれ、激しい権力闘争を繰り広げました。

この混乱を幕府も看過できず、元禄8年（1695年）3月23日、重益の家臣団統率能力の欠如を理由に、丸岡藩は改易処分を受けることとなります。重益自身は、池田仲澄に身柄を預けられることになりました。

赦免と旗本としての復帰、そして晩年

宝永6年（1709年）、徳川家宣が将軍に就任すると、重益は恩赦により罪を許されます。翌年の宝永7年（1710年）には、2000石の旗本寄合組として復帰を果たしました。

享保18年（1733年）2月25日、本多重益は71歳でその生涯を閉じました。跡継ぎは、五島盛暢の子で養子となっていた成興が継ぎました。

本多重益は、藩主としては決して有能とは言えませんでしたが、その人生は、家臣団の権力争いや幕府の介入など、波乱に満ちたものでした。彼の生涯は、藩主としての資質や家臣団の統率、そして時代の流れといった、様々な要素が複雑に絡み合った歴史の一幕を物語っています。

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