本多静雄

本多静雄の生涯と業績

はじめに

本多静雄（ほんだ しずお）は、1898年に愛知県上郷村（現・豊田市）に生まれた実業家であり、陶芸研究家としての顔も持つ人物です。彼は101歳まで生き延び、その豊かな人生は日本の陶芸と文化に大きな影響を与えました。ここでは彼の経歴や業績を詳しく見ていきます。

初期の経歴

静雄は父・松三郎、母・ちかの間に次男として誕生しました。11歳で許嫁の宇佐美美恵と出会い、教育を受けながら成長しました。1910年に西加茂郡猿投第二尋常高等小学校を卒業し、その後、愛知県立工業学校を経て東京中学校に進学。ここでは日本の航空灯台の設置に貢献した仲間とも出会いました。

1920年に結婚し、京都帝国大学に入学。工学部を卒業後、逓信省に勤め、様々なポジションを歴任します。1943年には技術院を退官し、故郷に戻ります。この地にアトリエを構え、陶芸に目覚めました。

陶芸への情熱

静雄は戦後、陶芸に対する情熱が高まりました。1945年12月には日本民藝館で柳宗悦と出会い、さらに陶芸研究を進めました。1946年には小長曽陶器窯跡の発掘調査に参加し、陶芸の魅力にどっぷりと浸かります。1954年には日本電話施設株式会社を創業し、陶芸の研究と並行してビジネスにも成功を収めました。

彼の陶芸研究の一環として、1957年に猿投古窯の発見がありました。これは本多自身が見つけた品々からのもので、古代の陶芸技術やその歴史を追求する貴重な成果をもたらしました。

陶芸活動と社会貢献

静雄の陶芸への熱意は、彼が収集した陶製狛犬にも表れています。愛知県の陶磁器博物館設立に貢献し、1973年には自身のコレクションを寄贈して開館に寄与しました。また、豊田市民芸館にも彼のコレクションが収められ、地域への文化的貢献が評価されています。

さらに、彼は杉本健吉と親交があり、1987年には杉本美術館の初代館長に就任。この美術館は、地域の文化の発信地として重要な役割を果たしました。

晩年の受賞と評価

静雄は、晩年に数々の栄誉を受けました。1973年には勲二等瑞宝章を受章し、1977年には豊田市名誉市民に推挙されました。また、1988年には中日文化賞を受賞し、特に鎌倉期以前の日本の陶芸の保存と研究に貢献したことが評価されました。

1999年、彼は病院を抜け出して自邸で開催された花見会に出席しますが、その日、豊明市の藤田保健衛生大学病院で101歳にして息を引き取りました。彼の墓所は、豊田市の光明寺にあります。

死後の影響

彼の死後も、本多静雄の残した業績は地域に根付いています。2016年には、旧本多静雄邸が「民芸の森」として一般公開され、多くの人々に親しまれています。彼の人生は、ただの陶芸研究にとどまらず、日本文化全体に大きな足跡を残しました。

まとめ

本多静雄は、陶芸研究や文化活動の分野で日本に大きな影響を与えた実業家であり研究者でした。彼の地道な努力と情熱は、後世にわたって受け継がれ、今もなお陶芸の魅力を伝え続けています。彼の功績は、名古屋や豊田市の文化の発展に寄与し、多くの人々に影響を与えています。

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