本朝世紀

本朝世紀（ほんちょうせいき）

『本朝世紀』は、平安時代末期に編纂された日本の歴史書で、歴史を探るうえでの貴重な資料となっています。この書物は、鳥羽上皇の命を受け、藤原通憲（信西）によって久安6年（1150年）の冬から編纂が始まりました。その成立は1150年から1159年にかけて行われ、全体で20巻にわたる内容です。

『本朝世紀』は、その内容が日本の歴史書としての伝承を十分に引き継いでおり、特に『六国史』の最後の部分に続く形で位置づけられています。具体的には、宇多天皇の時代である877年から近衛天皇（在位1141年 - 1155年）までに関する事柄が扱われています。この書物は、政府の公日記である外記日記を基盤としつつ、さらに外記官人の私日記なども参照しながら編纂されたものです。

ただし、信西は平治の乱での戦いにより死亡したため、彼が手掛けた部分は未定稿に終わり、また多くの部分が散逸しました。残念ながら、現存している部自体も935年から1153年の範囲に限られていますが、それでもなお、当時の歴史や風俗について知るうえでの重要な資料とされています。

文書大学と呼ばれる一部の情報が含まれるものの、内容のほとんどは朝廷の儀式や政治に関する事項が中心です。そのため、『本朝世紀』は当時の社会情勢を理解するための好資料ともいえるでしょう。未完ではあるものの、この書は『六国史』以降のまとまった歴史書として、さらに宮府の記録としての貴重な価値を持っています。

編纂された時期の完成部分は宇多天皇に関する記録が中心でしたが、他の天皇に関しては未定稿の状態で残っています。興味深いことに、完成された部分は室町時代までに姿を消し、逆に未定稿の部分が転写されて流布するようになりました。江戸時代に入ると、霊元天皇は伏見宮家より伝わった本朝世紀を廷臣に写させ、その後江戸幕府へも写本を送るなどして再び世に広めることに寄与しました。

このようにして、江戸中期以降、廷臣や学者たちの手により書写が進み、『本朝世紀』は再び広く知られるようになりました。翻刻に関しては、『新訂増補 国史大系』などでの収録があり、特に鎌倉時代に写されたとされる伏見宮家本および旧制第一高等学校の一高本が底本として利用されています。

実際に本書に関する調査や撮影が行われ、東京大学や京都大学の図書館にもそれぞれ所蔵されています。これらの記録は、今後も日本の歴史を深く理解していくうえでの貴重な情報源となるでしょう。

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