伏見宮

伏見宮の歴史と概要

伏見宮（ふしみのみや）は、日本の皇室に存在する宮家の一つであり、長い歴史を有しています。 この宮家は、応永16年（1409年）に北朝第3代の崇光天皇の第一皇子、栄仁親王によって設立されました。その名は、創設時の所領である伏見御領に由来します。 これまでに26代続き、その存続期間は約600年に及びます。

宮家の紋章は「伏見宮十四裏菊」であり、菩提寺は大光明寺です。また、家業は琵琶演奏に関するもので、伝統的な楽器として重要な地位を占めています。明治から昭和初期にかけて、伏見宮は多くの分家を持ち、新たな宮家や華族を創設しましたが、1947年に博明王が皇籍を離脱し、現在では断絶が予測されています。

中世の成立

伏見宮の起源は、南北朝時代の光厳上皇にさかのぼります。光厳は、名目上の花園法皇の子とされる直仁親王への皇位継承を計画していましたが、歴史の波に翻弄され、実際の皇位継承は崇光天皇の第一皇子である崇光上皇に託されることとなりました。この上皇は、持明院統の正嫡としての地位を与えられ、琵琶の秘曲を受け継ぎながら、持明院統の所領を管理しました。

しかし、崇光上皇は後光厳天皇との皇位継承を巡る争いに敗れ、伏見殿に幽閉されます。崇光上皇の死後、栄仁親王が持明院統の伝来所領を相続しましたが、後小松天皇による所領の没収に遭い、栄仁親王は出家することになりました。この時期、近臣は崇光家の運命を悲観し、彼らの衰退を嘆いたと言われています。

複雑な皇位継承と近世の展開

その後、伏見宮は後光厳天皇の皇統が断絶した際に重要な役割を果たします。貞成親王の第一王子、彦仁王が即位しますが、彼の本望は叶わず、後花園天皇の皇統が再認識されることになりました。また、江戸時代には伏見宮はつねに親王の地位を持ち、皇位継承の候補としても名を挙げられる存在でした。特に、貞敬親王と貞教親王は実際に皇位の候補となるほどでした。

幕末の時代には、伏見宮の皇族たちが天皇の信任を受け、重要な役割を果たしました。朝彦親王は孝明天皇の側近として活躍し、様々な政治的動きに関与しました。また、戊辰戦争において、範囲を超えた戦力を整えることに貢献しました。

近代以降の変遷

明治維新を経て、伏見宮は多くの子孫が新たな宮家を創設しました。特に、貞敬親王と邦家親王の後、梨本宮や久邇宮などが知られるようになりました。これらの宮家の設立には、明治天皇の影響もあったと考えられています。 24代貞愛親王と25代博恭王はそれぞれ重要な軍事的地位を占め、昭和期を通じて影響力を持っていました。

しかし、1947年に博明王が皇籍を離脱したことで、伏見宮は一時的に歴史の舞台から姿を消しました。しかし、最近では旧皇族としての地位や復帰が検討され、博明王自身も復帰への意志を示しています。

伏見宮は、歴史の中で多くの重要な出来事に関与し、日本の皇室史において特異な位置を占める存在となっています。

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